38日目  大津ー宇治


 さて今日はいよいよ京都だ。

 国道1号線(東海道)を通って進む。京都は盆地なので進む先には山が広がっている。実際、歩き始めてすぐに、山と山の間を抜けるような道になってきた。

 歩いていると伊豆の町に似ているような印象を受ける。昔の東海道の影響だろうか。って思ったけど、伊豆は東海道関係ないか。


 逢坂山弘法大師堂の前を通過。ちょっと前にも寺社があった。やっぱり京都に近づくにつれ、寺社が増えてきているのが感じられる。

 左手に見えていた線路がいつの間にか右手に見えるようになっていて、小さな駅舎の大谷駅の前を通る。京阪電気鉄道京津線。地元の私鉄らしい駅だ。


 その近くの看板に「京都11キロ・山科東野5キロ」と表示があった。

 京都はまだ先かなと思ったけど、山科はずいぶん手前だ。京都中心部という意味なのだろう。山科の時点でもう京都府なのだから、知らず内に京都に入っていた、という事態には気を付けたいと思う(神奈川・静岡間の反省)

 名神高速道路の高架をくぐり追分駅近くまで来ると、急に周りが開けてきた。相変わらず後方や左右には山が広がっているけれど、どことなく京都盆地に入ってきたのかも。ただ、歩道橋の文字はまだ大津市だ。

 看板に注意しながら歩いていると、ついに「京都府 京都市」の看板が。

 特に何かで区切られたわけではなく、ただ道路の途中に「国道交通省」と書かれた看板が立っているだけだけど、いよいよここからが京都だ。


 歩いているのは道は三条通といって、山科方面に向かって西へ進んでいる。さすが京都っぽく、整備された真っ直ぐな道だ。道路わきの建物にもちらほら、歴史を感じさせるものが見える。

 もっとも本日の目的は京都駅ではなく、南にある宇治なので、山科駅の南辺りから、用水路にそって南下する。京都は外国人観光客でいっぱいというけれど、まだすれ違ったのは自転車で旅しているっぽい人だけ。ちらほら見える学生の集団も、修学旅行生というより地元の学生っぽい。この辺りは観光地というより地元の住宅地なのだろう。

 地元スーパーで軽く休憩して進んでいると、住宅街の中に木が茂った場所があった。地元の児童公園かなとおもったら、蓮如上人御廟所とあった。こうやって、教科書に載るようなお坊さんのお墓が唐突にあるのは、さすが京都っぽい。


 東海道新幹線の高架と国道1号線を横切って、さらに南へ住宅街を抜けていく。

 この辺りだと綺麗に碁盤の目というわけにはいかないのか、道もくねくねで、京都っぽくないのが残念。中心部に行った方が良かったかな。

 それでもそこを抜けると、道幅が広くなって片道二車線の通りに入った。地図を見ると、ちょうど下を地下鉄東西線が通っているみたい。

 ロードサイド店も目立ってきたので、その一つのパスタ屋で昼食。京都でもチェーン店を利用するのが自分らしいというか。そういえば京都の名物料理って言われてもぱっと思いつかないなぁ。


 食事を終え、再び南下していると、道路の上に寺までの距離が書かれた看板があった。勧修寺・法界寺・三宝寺・随心院などなど。申し訳ないけど全部知らない名前だ。それぞれ立派なお寺なのだろうけど、トップレベルの寺院が集う京都では、インパクトに欠けるのかも。ごめんなさい。

 少し進んで醍醐駅に到着。地下鉄だから駅舎は見えないんだけど、道路の両脇を大きなビルが覆うように建っていて、規模の大きさが感じられる。

 つぎの石田駅のところで、南に向かうため、ひとつ左側に伸びる道に行く。県道だと思っていた道だけど、表示を見たら府道だった。そっか、京都府だっけ。

 とはいえ京都を感じたのはその名称くらいで、あまり京都っぽくないなぁと思っていたけれど、しばらくすると、宇治源氏物語の里まで4キロという看板を発見。近くにある病院やら学校にも、宇治の文字が入るようになってきた。

 京都芸術高等学校の前を通る。そこに「祝 全国高等学校漫画選手権大会 本戦出場」と書いてあった。漫画選手権なんてあるんだ。けどこういう幟って、何年前からずっと掲げっぱなしってのもあるよね。


 やがて町並みがすっきりしてきた。宇治川が近づいてきたのだ。今日は宇治駅前のホテルで宿泊予定だ。

 宇治駅が近づくにつれ観光客が増えてきたのを感じつつ、無事目的の宇治駅に到着。思ったより小さいなと思ったら、こっちは京阪電車の駅で、JRの方は宇治川を渡った先だった。

 というわけで宇治川を渡る。橋の上から川を眺めると、山々と河原と建物のコントラストが映えて、いかにも京都っぽかった。「そうだ京都行こう」的な光景だ。紅葉しているとさらにきれいだろう。


 橋を渡ってしばらくしてJRの宇治駅に到着。白い駅舎でやっぱりそこそこ大きかった。とはいえ駅に用はないので、少し戻ったところにあるホテルへと向かった。平等院は少し離れたところにあるし、前に来たこともあるので、そこに向かわず、今日はもう休む予定。お疲れ様でした。 


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