32日目  常滑ー名古屋


 さぁいよいよ今日は名古屋を目指します。

 まずは県道252号線を北上。道路の看板には知多の文字。まだまだ名古屋の文字は見えない。

 蒲池駅前交差点を通過。駅は見えないけど。

 それにしてもずっと住宅街が続いている。さすが名古屋に向かっているだけあって、このあともずっとこんな調子なのかな。


 しばらくすると、先ほど線路を渡ったので今度は右側に駅が見えてきた。西ノ口駅だ。さらには大野町駅を横切ったところでついに標識に「名古屋」の文字。

 あと30キロ。短くはないけど平坦な道だし、今までの経験上歩ける距離だ。


 道なりに歩いていると、左手に海が見えてきた。やっぱり海はいいなぁ。

 しばらく海沿いに進む。海の前方の方に見える陸地が、工場の埋め立て地っぽいのがまた愛知県らしい。


 そのまま歩いているとまた線路を渡る。どうやら名鉄の線路と並行して歩いているようだ。今度は左に線路を見るようにして進み、新舞子駅に到着。小さいけれど綺麗な作りで、住民の足って感じの駅だ。


 国道155号線に入る。さすが国道だけあって、だいぶ歩きやすい道になってきた。って思っていたら高速道路のようになって歩道が消えた。別名に七汰産業道路と呼ばれているようで、歩行者はお断りみたい。結局脇道にそれたら今度は川が渡れず、仕方なく住宅街を横切って何とか東側を走る別の国道まで戻る。ちなみにこっちも同じ国道155号線みたい。前にもこういうのあったかな。


 歩いていると歩道橋に「知多市日長」と書かれていた。いつの間にか知多市に入ったようだ。そういえば、知多娘。を見ていない。いっそのこと、市役所に行けばいそうな気がする。

 歩いている国道はどんどん内陸へ入っていく。知多半島とはいえ内陸はやっぱり高台になっているみたいで坂である。とはいえ山の中に突入することもなく、少し進むと住宅が広がってきた。

 そしていつの間にやら、さらに周りの家が増え、国道がまるで住宅街の抜け道みたいな道幅になってしまった。

 そんな道を抜けていくと市役所へと向かう交差点があったので、左に曲がり、市役所に向かってみた。


 さっきの狭い道とは対照的に、市役所周辺は運動公園やら市の多目的ホールやらがあって道も広々としていて、東京の霞が関あたりを思い浮かべるような感じだった。その先には工場の煙突と煙がみえる。もしかするとこの辺りも埋め立て地なのだろうか。

 市民じゃないけど市役所に入ってみる。冷房が気持ちい。さて知多娘。だけど、ちらっと見た限りその存在を確認できなかった。観光課に聞けばたぶん情報出てくると思うけど、パッと目はなかったかな。ホールにあった案内キャラも違っていたし。地方自治体とのコラボ力が弱いのかな。


 市役所を出る。せっかくなので国道に戻らず市役所前の綺麗な道を北上する。さすがに市役所から離れると建物はまばらになってきたけど、歩道は整備されているので歩きやすい。

 その後国道に戻ったけれど、道は大きくて綺麗。けどそれは太田川駅の前だったからみたいで、その先には普段の道になってきた。

 そんな道を、線路を見るように歩いていると、次の駅に到着。新日鉄前駅。企業名+駅ってすごいなぁ。さすが豊田市がある愛知県かな。駅も立派……と思ったら別の建物で、その奥にある駅舎自体は、新日鉄らしからぬ寂れた感じだった。


 さらにそのまま線路沿いを歩く。そういえば線路沿いに駅から駅へと歩いていたのって、旅を始めたころだっけ。あの頃も横浜という都会だったけど。

 線路が先なのか都市が先なのか、二つに相関関係がありそうだ。

 というわけで次の駅は聚楽園(しゅうらくえん。駅のローマ字で読めた)。また特徴的な駅名だ。右となりにある公園っぽいのが、聚楽園かな。でっかな大仏の後姿が見えたので寄ってみた。

 おお。でかい。鎌倉大仏より大きいかも。歴史で聞いたことなかったので新興宗教家がつい最近建てたのかなって思ったけど、調べてみると昭和2年建立。意外と歴史があるのかないのか。昭和天皇のご成婚を記念して名古屋の実業家が建てたとのこと。こういう隠れたスポットもあるから、適当に歩く旅も面白い。


 伊勢湾岸自動車道の高架下をくぐってさらに北へ。

 もうほとんど住宅街だ。所々大きな高層マンションの姿も見える。

 道路看板に「熱田神宮7キロ」の表示。いよいよ名古屋は目の前だ。

 大きな天白川を渡る。そして橋が終わったところに、ついに「名古屋市」の表示があった。横浜から出発して1か月ちょっと。東海道からいろいろ寄り道しつつ、ついに名古屋に足を踏み入れたのだ。ちょっと感動。はるか一直線に進んでいる国道247号線を進めば中心部へとたどり着けるはずだ。


 どんどん高いビルが目立つようになってきたのに、片道三車線の道路が広くて一直線だから、遠くまで見渡せて、開放感が良い感じ。交差する道路も広いため、交差点も幅広くなっている。

 建物は違えど、同じ光景がずっと続いている。ようやく平坦な道には珍しく上り坂だと思ったら橋だった。山崎川。その橋を渡り切るとやはり、一直線に続く片道三車線の大通りが伸びている。この調子だと、そのうち城が見えるんじゃないかって思うくらい。この手の道は何度か通ってきたけど、ここまで長いのは初めて。さすが名古屋だ。

 退屈してきたらまた坂道だ。川かな。登っていく道に歩道がなくなってしまったので、その横の道に逸れる。左上にさっきまで歩いていた国道を見ながらしばらく歩く。なかなか川が見えないと思っていたらようやく突き当たった。橋がないので渡れない。仕方なく川沿いを左に歩いてようやく橋を発見。この川も山崎川みたいだ。支流や本流みたいなものかな。


 橋を渡るとようやくさっきの国道が降りてきて無事合流できた。歩道も復活である。

 すると急に建物がなくなって、森のような木々が見えてきた。

 でも田舎に入ったというわけではなく公園のようなもの。

 熱田神宮である。

 結構歩いてきて疲れているので、外から横目に眺めつつスルーして名古屋駅を目指す。名古屋駅・熱田神宮間を徒歩で行く人って、なかなか珍しいだろうなぁ。

 熱田神宮を後にしばらく歩いていると、町並みも電線が消えて、住宅ではなく企業のビルが目立つようになってきた。いよいよ中心部が近づいてきている。

 白川公園を越えて、広小路伏見の交差点を左折。様々な線路の高架をくぐってから右折し、そのまま線路沿いを歩く。

 もう人がいっぱいで、その流れに着いて行けば駅まで行けそう。それにしても、今まで人のいない道ばかり歩いていたので、この人の流れに戸惑ってしまう。


 そしてついに名古屋駅前に到着。何度も旅行で利用して見慣れた駅なんだけど、駅から降りずに、駅を外から見たのは初めてなので不思議な感じだった。

 というわけで今日はここまで。お疲れさまでした。


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