21日目  丸子ー吉田


 宿の方に見送られて、出発。料亭を兼ねているだけあって、とろろ汁は美味しかったし、道を間違えてむしろ良かったくらいだ。

 さて今日の目的はリベンジ吉田! ちなみに予約したホテルは昨日泊まる予定のホテルとは別。なんとなく予約しづらかった小心者です。


 宿を出て少し進むと、駿府匠宿って面白そうな施設もあった。昔の技術を体験できる施設のようだけれど、目的とはちょっと違うので、そのまま国道1号線を西へ向かう。江戸時代の東海道っぽくはない近代的な国道だけど、山間に作られた道は、昔の雰囲気を感じるかも。

 しばらく歩いていると、宇津ノ谷の道の駅に到着。道の駅って車の運転をしない自分にとっては縁がなかったんだけど、今ではこうやって寄れるのが助かる。

 ひと休憩。調べてみると、このさきに明治のトンネルがあるみたい。その名の通り、明治時代に作られたものだとか。

 歩いていけるものなのだろうか心配だったけど、ちゃんとガードレールで仕切られた歩道があったので一安心。

 ていうかすごく長い? 何メートルなのか書いてないけれど、最長記録じゃないかな? 前も後ろも真っ暗だ。ようやく光が見えて一安心。

 それにしても明治に作られた割には近代的だったけど、と改めて調べてみて、明治のトンネルとは別のトンネルだったことが判明。こっちは平成に作られたトンネルだったみたい。道理で近代的だったわけだ。しかもこの宇津ノ谷峠って、東海道通なら誰でも知っている?有名な場所で、ここの峠越えがひとつ魅力のようだ。東海道を歩いて踏破することを目的とした人からは、そんな名所をスルーしてトンネルで通ったなど、石を投げられそう。

 まぁだけど自分の目的はあくまで日本一周だし、知識のない状態で手探りで進むのも冒険ぽくて好きなので、これはこれでいいんじゃないかな。峠を越えた人は、このしっかり歩道がある長いトンネルを歩いて抜けているわけじゃないんだし。


 というわけでトンネルを抜けてすぐ先。「藤枝市」の標識。

 おお。これで何度目かわからないけれど、久しぶりに意識した市境超えだ。清水市だと思っていたら実は静岡市だった、から長かったなぁ。日数にしたら、3日前のことだけど。

 そんなことを考えながら進む。道路はしっかりしていて高速道路みたいだけど、歩道もしっかりしているので助かる。ほかの道もこうなら歩きやすいのに。

 けれどしばらくすると歩道がなくなり高架へ。仕方なく横道を進んで、県道208号沿いを進む。もともとこのルートの予定だったので問題ない。

 やがてぽつぽつと住宅が増えてきた。長屋風の家が多いので、昔ながらの東海道を進んでいるような感じだ。地図を見ると岡部という地名っぽい。そういえば信長の野望に、今川家の家臣に岡部っていたなぁなんてことを思い出す。

 そんな岡部川を右手に見ながら南へと進む。

 岡部の役所を超えたあたりから急に都会っぽくなってきた。標識には「島田」まで15キロ。まっすぐ進むならそっちが正解だけど、今日の目的は逆方向。

 道路沿いにラーメン屋があったのでそこでちょっと早いけれど昼食。

 昨日は食べられなかったので、ゆっくり休憩も兼ねつつ、出発。

 しばらく歩くとでっかな高架が見えた。先ほど物別れした国道1号線だ。うう立派になっちゃって、なんて冗談を心の中で言いつつ高架をくぐってそのまま直進する。

 そこそこ大きな川を渡る。丸子川より多く見えるけど二級河川の「朝比奈川」だ。朝比奈さんも今川家にいたなぁ。

 そのままひたすら県道381号線を進む。大きな倉庫が目立つかな。しばらく歩いて再び上り坂。これはこの先橋がある流れだ。さて今度は何川かなぁ。って、葉梨川。うーん。今川家にいなかった、かな?

 それはさておきさらに進む。ちなみに電柱を見て気づいたんだけど、このあたりの地名は水守というみたい。なぜか他人の気がしない名前である。近くには前の勤め先で名前だけ知っていたお茶屋さんもあって、なんか縁を感じてしまった。そういえば静岡ってお茶の産地だっけ。まだお茶畑を見ていない気もするけど。


 さらに進み瀬戸川を超えて、まっすぐ行く。本当はもう少し手前で左に曲がったほうが目的地に近道なんだけれどせっかくなので藤枝駅を経由していこうかなって思うのでこの道。

 そして到着。昨日の用宗駅から三つ先の駅だ。ロータリーも大きくてちょっとほっとする。駅の南側に出たらもっと都会だった。峠越え(抜け)をしたあとなので、より都会に見えた。

 そこから県道33号線に向かって歩く。道路は綺麗で街並みも綺麗。家と家の間隔が広くて、高級住宅街みたい。そこを抜けて県道33号線に合流。

 県道に入っても高級っぽい街並みは変わらない。新幹線の高架をくぐってさらに進むと、左手に水田が広がっていた。山か海沿いばかり歩いていたから、平野を眺めるのは久しぶりだ。

 しばらくして標識が見える。右に曲がる先に書かれているのが、リベンジ「吉田」だ。一緒に「空港」の文字もあるけど、こんなところに空港があって利用者はいるのかな。っていつか問題になっていた静岡空港かな。

 標識通り右に曲がる。確かに空港がありそうな平野だ。道は広くて歩きやすいんだけど、地平線が見えるレベルの平野は、なんか北海道を歩いているような感覚。ほんとうにこの先にホテルがあるのかちょっと不安。けど標識はこの先吉田になっているので、それを信じて先に進む。

 地平線を見ながら歩いていると先の道が登りになっているのが見えた。これは橋のパターンだ。ずっと平野だったから久しぶりの上り坂がきつい。みどり橋という名前が見えた。かと思ったら、はばたき橋。え? 同じ橋じゃないの? どっちよ?

 それはともかく、大きな橋、大きな川だ。橋の上から広がるパノラマは絶景。そして橋の途中に「島田市」の文字。静岡・藤枝ときて、今日三つ目、「島田市」へ突入だ。

 やたら長い橋をようやく終わって下り始めたころに今度は「中河橋」との文字。この橋の名前はいったい何だったのだろう。

 それからしばらく歩いて、県道34号線を左に曲がると、ようやくロードサイドっぽくなってきて、その先に目的のホテルが見えた。ゴールだ。

 近くにあまり店がないのでハンバーガーを買って今日の夕食にしよう。昨日の民宿も良かったけれど、ビジネスホテルにはビジネスホテルの味もあるのかな。

 というわけで今日はここまで。お疲れ様でした。



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