16日目  修善寺ー沼津


 町中に戻った安心感と今日で伊豆も最後という思いから、のんびり寝て少しゆっくり目にホテルを出発。

 今日はあいにくの曇り空。けれど雨の心配はないみたいで一安心。

 さて今日もがんばろう。

 

 まずは宿から東に歩いて、ちょっと寄り道。箱根登山鉄道の修善寺の駅を見に行った。鉄道駅も下田以来だから、結構久しぶり。同じ終着駅だからか、下田駅と雰囲気が似ているかも。広々としていて修善寺の「和」っぽい雰囲気に合わせた駅の作りがいい。あ、ラブライブのコラボやってる。今日の目的は沼津なので縁があるというか。せっかくだし、内浦も通る予定だ。

 というわけで、改めて出発。

 駅から少しだけ戻り、狩野川沿いを北へと向かう。堤防の上を歩いていると、釣りをしている人や散歩の人もちらほら見えた。

 河口まで27キロ、という看板を見つける。地図を見てみると、この狩野川の河口が目的の沼津だ。ということはこの川を通っていけば、地図を見なくても目的地まで行けるのか。まぁ河川敷がずっと続いているわけじゃないから無理だろうけど。それに川はくねくね曲がっているから、歩く距離も増えちゃうし。

 というわけで、直線的に目的地に向かうため、いったん橋を渡って向こう側に。

 すると川を渡ったところに「長嶋茂雄ロード」という看板が。何でもこの辺りでキャンプ前の自主練をしていたみたい。こんな町中で自主練していたら野次馬も凄そうなのに。

 せっかくなのでその川沿いの道を通って大仁の駅に到着。住宅地の真ん中にある小さな駅だ。まだまだ出発したばっかりなので、駅はスルーして左折。大きな道に出る。懐かしの国道136号線だった。なんかもう腐れ縁って感じ。

 でも今回は幹線道路といった感じで、歩きやすそう。

 まっすぐ歩いていると、韮山反射炉がこの先にあるって表示を見つけた。一時話題になったけど、詳しい場所は知らなかった。そっか、あの韮山ってこんなところにあったんだ。

 けれど目的の内浦を通って沼津に向かうルートだと、直進ではなく左折しなくてはならない。

 しばらく考えたけど、韮山反射炉はパスして予定通り進むことにした。それにしても伊豆一つでもこんなに見たいところがあるんだなと。やっぱり日本って広い。

 というわけで。まだ早いけどこの後店がなさそうなので、幹線道路沿いのハンバーガー屋で軽く食事をとって左折。内浦方面へ向かう。

 大きな橋で川を渡る。その川は出発時に堤防の上を歩いていた狩野川だ。一時間とちょいくらいぶりに再会した狩野川は、河口に向かっているためか若干水量が多く見えた。

 さてそのまま歩いていると正面に見える山に鉄塔みたいなものが見えた。最初は送電線かなって思ったんだけど、よく見ると……もしかして、ロープウェイ?

 地図を確認するとちょうど向かう先に、ロープウェイの駅があることが分かった。今日は時間にも余裕があるし、無駄に遠回りする必要がなくていいのなら、ちょっと寄ってみようかな。

 というわけでやってきました。伊豆の国パノラマパークのロープウェイ。ロープウェイは、観覧車みたいにくるくる回ってくる車に乗る形だった。ていうか、そのスピードが結構速い。

 かなりのスピードで、一気に山を登っていく。右手(東側)に海が見えた。左手(西側)には伊豆の山々と平野が一望出来た。あの山の向こう側の、海を沿うように歩いてきたんだなぁと、ちょっと感激。

 ロープウェイを降りた頂上にはちょっとしたお店と展望台。展望台から眺めると、これから向かう先の内浦の海が目に入った。あれが例の淡島? 綺麗に丸い円錐状になっていて、アポロチョコのように見えてちょっとかわいい。

 富士山は残念ながら曇っていて見えないかな……って思ったら、雲の上にうっすらと山影が。富士山だ。普通の山がある位置で探していたから一瞬分からなかったけど、ほとんど空レベルの所に山影が見えるって、想像以上にでかい。

 さてそろそろ出発だ。

 ロープウェイを降りて西へ向かう。すっかりなれた山道をすすむ。やがてトンネルが見えてくる。歩道がないどころか、さらに幅が狭く、車同士でも譲り合ってください、って書いてあるほど。

 そんな狭いトンネルを方向者が歩くのは申し訳ないけど携帯を光らせ、はるか先に見える光の奥へ向かって早歩き。

 音が響くから、どこから車が通ってくるか分からない。ぎりぎり壁に張り付くようにして車を避け、ようやくトンネルを抜けた。

 一息ついて歩き出してまもなく。いきなり目の前に広がった光景。海だ。坂の下に海が広がっている。展望台からも見えたけど、こうして見るとやはり格別だ。

 そして内浦に到着。

 かといって、当然だけどちかちゃんが迎えてくれるわけなく、普通の港町って感じ。でも今までは滅多に見られなかったおひとり様が歩いている姿も。やっぱりライバーなのかなって思う。

 右に曲がって海岸沿いを歩くと淡島が目の前に見えてきた。しばらくして淡島マリンパーク前に到着。淡島行きの船着き場にはたくさんの人が並んでいた。これまでずっと一人旅で、特に昨日はひたすら山の中を歩いていたので、こんなに人が多い光景が不思議だった。

 時間はあるので、せっかくなので寄ってみた。ちょうどリアル脱出ゲームが行われていて、それが目当てでひとが集まっているみたい。けどどれくらい時間が掛かるか分からないので、自分は通常で。

 淡島マリンパーク(水族館)はこじんまりとしたものだったけれど、ペンギンが頭上を飛ぶチョウチョを追いかけている姿が可愛かった。アニメで見た、あのトンネルも通ることができた。

 島をくるりと一周してから、離宮レストランで昼食。軽くハンバーガーは食べていたけれど、せっかくなので。場所によっては食事をちゃんととれないときがあるので、こうやってゆっくり食べられるのは貴重。海鮮丼に乗っかっていた海苔に、「淡島うみね」という萌えキャラがプリントされていた。……ラブライブの前からこういう路線だったのかな。

 淡島を後にして、出発。

 沼津市街を目指して海沿いの道を北上。東西に伸びる国道に合流する地点に、狩野川が河口に向けて流れていた。スタート時点からショートカットして27キロ着いたのだ。

 交差点すぐの所にトンネルがあったけど、歩行者専用のトンネルもあって嬉しい作り。しかも小学校の卒業作成風に壁画になっていて、心癒された。

 国道は湾に沿った形で、くるりと回っているので、いくら歩いても淡島が離れない。それでもようやく湾を抜けると、後はまっすぐ北上するだけ。一気に町並みが都会風になってきた。

 沼津港に観光できる大きな水門があるみたいなので、そっちに寄ってみるため、国道から左へと曲がる。大きな川を渡って……って、これも狩野川? 地図で確認すると、こっちが本流で、さっきの狩野川は放水路みたいなものみたい。

 何かと縁を感じながら橋を渡って、港っぽい地形に入る。

 水門に向かう途中、深海水族館を見つけた。これも面白そうなので、ぎりぎり閉館前だったけど、さっと寄ってみた。おひとり様水族館、本日二回目! 言葉の響きほど難易度は高くないかも。

 ぼんやりと、動かないゾウリムシを眺めていたらあっという間に時間が過ぎていた。なんか癒される。冷凍シーラカンスもかなりの迫力でした。

 そのあと目的の巨大水門、びゅうおを見学。水門の上から見た沼津港の眺めも良かったけど、いざというときの水門らしく、それを閉めるための機械の装置も見られて格好良かった。

 さぁ。あとちょっと。

 水門の上で一休みして出発。沼津駅はもうすぐだ。

 再び狩野川の河川敷の堤防を歩いて沼津駅に向かう。狩野川はヘアピンするように伸びているので、同じ北方面に歩いていても、行きは川の流れに沿って歩いていたのに、今は川上方面に歩いているのが、ちょっとおもしろい。

 沼津の河口付近ということもあって川幅もかなりの大きさ。そんな狩野川の河川敷には夕暮れ時ということもあって、人の数が多かった。沼津って意外に都会だったんだなって失礼な思いが浮かぶ。

 そして駅前の商店街に入り、そこを抜けるようにして沼津駅を目指す。ふたたびサンシャインのメンバーたちを眺めながら、ようやく目的地の沼津駅に到着。

 今日はただ歩くだけでなく色々寄り道をしたので疲れたけれど、その疲れも心地よかった。たまにはこういうのもいいかな。

 というわけで今日はここまで。お疲れさまでした。



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