15日目  土肥ー修善寺


 今日の天気はどんより曇り空だ。

 長かった伊豆半島もそろそろお終い。ただ外回りだけでは寂しいのと、泊まる場所の関係で、今日は海岸線を通って直接沼津方面へ向かわず、国道136号線を通って東に向かい、伊豆の真ん中、修善寺を目指す。

 土肥中浜の交差点を右に、国道136号線をひたすら進む。

 温泉街っぽい町並みを抜けていく。正面に山が見えるのがなんとも不安。これを越えるのか……。

 徐々に坂道になりながら、右手に流れる土肥山川を渡る。先に山々が見えてきた。道路はそこをくねくねと避けるようにして続いているような感じだ。徐々に建物が見えなくなって、坂道もつらくなってくる。やっぱり上っていた。

 しばらくするとまた住宅が見え始めてきた。道端に長寿のおじぞうさん。それはともかく、隣にベンチがあったのでひと休憩。

 だいたい出発してから一時間だ。小さな橋の向こう側には、なぜかきのこのオブジェも置かれていた。「しいたけ大臣賞の里」と書かれていた。そんな大臣賞もあったんだ。

 自販機のジュースで水分補給して出発する。

 先に進むとすっかり山道になってきた。人が歩くように作られていない車道の端をぎりぎり歩いていく。車どおりが変に多いから、精神が削られていく。「こんなところに何で歩行者が」って思われてそうなのがつらい。

 しばらく歩いていると山を登っているだけあって、景色だけは良くなってきた。若干、精神的なヒットポイントが回復した感じ。

 そんな中、唐突に建物が見えてきた。

 グリーンヒル土肥? ていうか何屋なんだろう。雰囲気と場所的には道の駅みたいなものかな。何とも昔の伊豆というか、昭和な感じの建物だ。

 自分は徒歩なんだけど、休憩もかねて軽食を。プリンアイスという甘味ダブルだったけど、甘い物好きなのでむしろ歓迎だ。メニューにあった牛乳ラーメンも気になったけど、さすがにラーメンはまだ早いかな。

 ひと休憩してさて出発。何気にトイレに行けたもの助かった。


 店を出てすぐにトンネル登場。そして左手には抜け道も見えた。地図を見ると遠回りだけど左手の道でもいけそうだ。たぶん国道は車メインだろうし、こっちを行ってみよう。

 というわけで山登りだ。まぁどっちも山登りだったんだしそんなに変わらない。案の定、車どおりがなくて歩くのは精神的に楽。

 それにしてもアスファルトの道がくねくねと続くだけで何もない。対向車線付きのそこそこ立派な道なのに、車は全く通らない。なんでこんな道があるんだろう。地図を見ると、さっきの国道が「西伊豆バイパス」って書かれていた。つまりあれができる前は、この道を通っていたのかな。昔の遺産ってやつだ。今ではさっきの道があるので、ここをわざわざ通る車もないんだろう。

 だいぶ疲れてきた。たまに見晴らしがいいところに出ると本当に山を登っているんだなって実感する。一本道なのにくねくねしているから、ちゃんと進んでいるのか不安になるけど、スマホの地図情報で、ちゃんと東に進んでいるのが確認できるので一安心。GPS優秀。

 くねくね歩いていると久しぶりに看板発見。直進方向に修善寺温泉の文字が見えた。左方向には、かの有名な「西伊豆スカイライン」の文字が。見上げると、上に橋がかかっているので、あれがそうなのかな。いずれにしろ走り屋の道に歩行者がいたら迷惑以外の何者でもないけど。

 時計を見るとだいぶ時間は過ぎている。実際スタート地点からはかなり歩いたけれど、ゴールの修善寺まではまだ半分も達していない。

 ちょっとやばいかな。迂回路+山道が地味に効いているっぽい。

 このまま進めば、また国道136号線に合流するみたいだし、そこからは車通りより時間を優先にしようと決めて少し早歩き。

 しばらくして無事合流地点に到着。右手に「フェリー乗り場」の案内が書かれていた。土肥まで12キロ。歩くならかなりの距離だけど、車ならすぐそこレベルなのか。あれだけ歩いても12キロ。でも歩き始めたときに、修善寺まで25キロとあったので、約半分は達成したってことだ。

 なんて思ったら、すぐに標識があって修善寺まで15キロとあった。地味に2キロ計算合わないんだけど、まぁ仕方ない。

 相変わらず車どおりの激しい国道。でも心なしか歩道が広がった道を歩く。

 天城ドームビックスワンまで4キロという標識を見かけた。東京ドームや西武ドームを想像してちょっと気になる。こんなところに野球場なんてあったっけ。

 しばらく歩いて気づいたんだけど、徐々に下り坂になってきて民家を目にする機会が多くなってきた。もしかして峠を越えたのかな。そういえば、天城ドームの天城って、もしかして天城峠の天城? ということは、今越えていたのが例の峠だったかな? というわけで調べてみたけど、南北に伸びる道だからこことは違うみたい。ただ天城山はこの東西に伸びる道のすぐ南にあるので、天城ドームの天城はあの天城で正しいようだ。

 しばらく歩いて、「天城ふるさと広場」という看板と、例のドームの写真があった。写真で見る限りは普通のドームだった。

 気になったけれど時間も押しているので仕方なくスルー。今度来るときは……ってさすがにもう山道は勘弁かな。

 しばらく歩くと今度は「狩野ドーム」の文字。まだ先だけど、ドーム多くない?

 それはさておき、やっぱり油断だったみたいで再び登り道を進んでいると、日帰り温泉村が出現。寄りたい気持ちもあったけど、時間の問題というより、入ったら動けなくなってしまいそうなのでスルー。代わりに久しぶりのコンビニがあったので、トイレ休憩とかなり遅めの昼食用パンを購入。なんだかんだで建物が目立ってきた。位置的には土肥と修善寺の半分くらいだけど、前半は山越えみたいな感じだったので、あとは一気にいけそうな気がした。

 ひたすら歩いていくとT字路になった。右(南)方面はなつかしの下田。そして左(北)方面に修善寺だ。地図的には後は一気に北上するだけ。見た感じそこそこの街中みたいだし、気分的にはもうゴールは目前。だいぶ足が棒になってきたけど、あとちょっとだ。

 というわけでT字路を左折したら、さっきの狩野ドームの看板があった。しばらく歩くと右手に、丸というより四角っぽい、かくかくした感じのドームがあった。立派なグラウンドもあるし。伊豆市ってお金持ってるのかな、なんてことがふと頭に浮かんだ。

 どのみちドームには用がないので再び国道に戻って北上。

 右手に見えるのは狩野川というらしい。そういえば今日は海を見ていない。あれ? もしかすると海をまったく見なかった日は初めてかもしれない。

 色々な道路の高架の関係で、やたら上下にくねくねした道を、左に曲がるともうゴールである修善寺の中心地は目の前だ。

 まもなくして、今日の宿泊地が見えてきた。あれ? そういえば地名である「修善寺」自体はどこにあるんだろう。

 まぁ今日は山越えして疲れたし、まぁいいか。

 というわけで今日はここまで。お疲れさまでした。



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