10日目 伊東ー熱川
さて今日はのんびりと出発。
というのも次の目標を下田にしていたんだけど、徒歩検索してみたら11時間超えという距離だったのだ。三浦半島の南端から鎌倉まで歩いてきた経験上、もう余裕で着くかなって思っていたけれど、さすが伊豆半島。スケールが違った。
というわけで一気に下田まで行くのではなく、今日は熱川あたりを目標にしようと思う。また温泉地である。近くに熱川バナナワニ園もあるので寄ってみたいし。
今日のルートは、海沿いの道もあるけど内陸の国道を通っていくことにした。
どちらのルートからも熱川に行けるけど、距離を見た限りは内陸ルートの方が近そうだったから。それに道路の幅も地図を見た感じではこっちの方が広そう。
歩き始めてからしばらくはさすが伊東といった感じの街並みだったけれど、南に歩いていくにつれ徐々に建物が減ってきて地味に坂道になっている。
そしてまだ家はちらほら見えるけれどさっそく山道のようになってきた。
山間の道でもさすが国道。歩道があるので一安心。
しばらく歩いていると、城ヶ崎海岸まであと10キロという標識があった。城ケ崎って前にも行ったような……と一瞬首をひねって気づいた。そっか、三浦のは城ケ島だっけ。
本格的な山道に突入することもなく、しばらくして住宅街に入った。JAの建物やコンビニも発見。コンビニはトイレ休憩に重宝させてらっています。
コンビニを出てしばらく歩くと、前方に恒例の山が見えてきた。けど、いきなり山道に入る感じではなさそうだ。
国道沿いを左に曲がると、川奈駅があるみたいだけど、まだ余裕があるのでスルーして、まっすぐ下田方面へ。
思ったほどの坂もなく歩きやすい。郊外のロードサイドっぽく大型店がぽつぽつと並んでいるので気分的にも楽。
その道路沿いに並んでいたチェーン店で、少し早いけど食事をとった。熱海のときのようになりたくなかったので、食べられる時に食べるのが一番。
あらかじめ調べておけば地元の名物店にも行けるんだけど、行き当たりばったりなので、そこに行こうと目的を立ててしまうと、時間やらルートやらの縛りが出てしまうのでそれはそれで難しい。やっぱりチェーン店が無難。
早目の昼食を終え、出発。
店を出てからもしばらく大きな道を歩いていたけれど、やがて山の中に入って来て道幅も狭くなり歩道もなくなった。自動車の人には申し訳ないけど、ここは進むしかない。登りだけど急いでいくと、左手に海が広がって見えた。かなり下に見えるので、ずいぶん上っていたみたいだ。
脇道があったのでそこに入る。道幅は狭いけれど車通りもなくなるので歩きやすい。それに完全に山道じゃなくて、民家もちらほらあるから安心だ。
道なりに歩いていると少し大きな道、県道109号線に出た。これで一安心。この先近くに駅があるのでに寄ってみることにした。
しばらくして、冨戸駅に到着。うん。何にもない。
わざわざ寄らなくても良かったかなと思いつつ、地図を確認。線路を渡って国道に戻るよりはさっきの県道を進んだ方がよさそうだ。
というわけで住宅街をショートカットするように県道に戻っていく。住宅の間を抜けるように坂道を下っていると、家々の隙間から眼前に海が見えた。なかなかの絶景である。これが見えただけでも良かったかな。
ここからは県道に戻って一路南へ進む。
久しぶりに海沿いの道を歩いていると、道路はやがて住宅街の中へ入っていった。国道は大きく移動する車用、県道は近所の住民用、ってイメージだ。
そんな県道を抜け、城ヶ崎海岸の駅に到着。別荘地にあるロッジ風に作られた駅の形がちょっとおしゃれだ。
この近くに「怪しい少年少女博物館」といういかにも怪しい名前の博物館があるようなので、寄ってみることにした。国道に出て右折してちょっと歩くと、明らかに怪しいもの(巨大な紳士?ペンギン?みたいなよく分からない像)が出迎えてくれた。
中もカオスだった。某ドンキみたいなごちゃごちゃした空間に昭和レトロな雰囲気のおもちゃや人形やらがたくさん。何をもって「少年少女」だったかは分からないけど、「怪しい」は間違いなく怪しかった。行けなかったけど、熱海城や秘宝館みたいな「伊豆らしいB級スポット」って感じで楽しめた。
館を出た後、隣の店でおまんじゅうを買い、ほっと一息ついて、国道135号線沿いを南下することにした。
しばらくすると、今度は伊豆オルゴール館というものがあった。こちらは寄らずにスルーしたけれど、さすが観光地だけあって、色々なものがある。
いま歩いているこの道は、東伊豆道路と言われているようで、高原の道といった感じで気持ちいい。軽井沢の森の中を歩いている感じだ。
そんな道の真ん中に、変な標識があった。
この先300メートル、と書いてあってその文字の上に絵が書いてあるんだけど、それがどうみても「立ションしている人」にしかみえない。この先に行ってみたけど、結局何なのか分からなかった。
しばらく歩いていると道路を囲むような森が無くなり、目の前が開けてきて、大きな赤い建物が見えてきた。
赤沢温泉ホテル。また温泉である。
ここが目的地ではないので、そのまま通り過ぎる。ただ観光地っぽくなっているので、道や景色が綺麗なのは嬉しい。
そんな感じの海沿いの道を歩いて行くと、ひさしぶりにトンネルが見えた。奥が見えるほど短いけれど、懐かしい。けど歩道がないので、あえて海岸沿いを歩いてみた。砂浜というよりごろごろとした石が集まった河原のような感じ。歩きづらいけれど、砂よりはマシだし、気分転換にはいいかも。こんな感じで、ときおり国道の様子を見て歩道があれば向こう側に渡ったりしながら進む。
やがて国道沿いの道から左にそれる道があったので、海沿いのそっちに進むと温泉街に来た感じだ。その途中に、「伊豆北川駅」の文字を発見。こんなところに駅があったんだという秘境な感じ。看板が無ければ気づかなかった。
そこからは国道に戻らず、グーグルマップを信じて急な山道を登っていく。くねくねした山道は不安だったけど、アスファルトの道に出て、少し安心。そしてさらに歩いて、ようやく建物が見えてきた。
マンションちらほら見えて、そろそろ駅が近いのかなと思ってら、目的の熱川に着いていた。
そして宿泊予定のホテルに到着。
まだ時間に余裕があるので、チェックインする前に、すぐ近くのバナナワニ園に寄ってみることにした。
ホテル脇の道から駅前に降りることができて、バナナワニ園はそのすぐそばだった。入り口を見ると思ったより小さく見えたけれど、中に入ってみると意外と広く見所が多かった。
ワニだけじゃなくて、熱帯植物園も併設されている。そこにはバナナもある。つまり、バナナワニではなく、バナナ・ワニ園。そういえば前に読んだ小説にそう書いてあったっけ。その小説には、ワニじゃなくてレッサーパンダが実は主役、と書かれていたけど、確かにレッサーパンダもたくさんいた。
ちなみにその小説とは、加門七海著『ワニたちに明日はない』。さすがに知っている人はいないと思うけど。
ここは温泉の熱を利用して、熱帯の気候を再現しているみたいだ。なるほど。温泉地にこれを作る意味はあったのね。温泉が、人だけじゃなく、ワニや植物にも恩恵があったのは面白かった。
さて、自分もホテルに戻って温泉に入ろう。
というわけで今日はここまで。お疲れさまでした。
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