第二話 白昼夢
「ねぇ……柚弦くんって……シたことないの……?」
小鳥遊がその白く、華奢な指を俺の頬にはべらせながら囁く。
何を?なんてナンセンスなことを俺は聞かない。男は唯、受け入れる。
そんなことは縄文で土器を造ってた頃からの常識である。
俺は両の手を彼女の細い腰へ回し……。
-―ガタッ!!
「いってぇ!!」
俺は自室の床に仰向けで転がっていた。
伸ばしていた腕は柔い肌も男としてのロマンも掴み取ることなく空を切った。
時刻は4:05を示している。つけっぱなしのエアコンから吐き出される冷気にすこし身震いした。今日は補習もないし、もうちょい寝るか。
俺はそっと目を閉じた。
結局小鳥遊は風呂から上がった後、すぐに帰った。俺の無神経な行動で怒らせてしまったのか、はたまた親と仲直りする決心でもついたのか分からない。
唯一分かったのはやはりアニメやドラマのようにうまい事ムフフな展開になんてならないってことだ。
学校一の美少女に風呂を貸した、なんてすごいニュースではあるかもしれないが、夏休みが明けるとこのことが冬場のインフルエンザ菌のごとく広まり卑劣ないじめが始まるかもしれない。
ただ江口や他のオタク仲間には自慢してやろう。そんなことを考えながら再び眠りについた。……つこうとした。
その刹那、
「雨崎柚弦よ!!」
突如部屋に爆音の声が響き渡った。鼓膜がそれに耐え切れず耳鳴りがする。
「なんだ!?」
謎の声は残響の最中こう続けた。
「今日はお前に一つの命令がある!」
「近所迷惑だろ!どこの誰だ!」
「そんなこと説明する暇はない。単刀直入に要件をいう。
『小鳥遊寧々をオトせ!!』」
……。俺の右脳がその言語を理解するまでに2秒弱かかった。
あの学年一の美少女を……?俺みたいな童貞オタク陰キャが……?
何の為に……?
いろんな疑問が浮かび上がってパニックになる。
「信用もできんやつの言うことは聞けん」
「なら、姿は見せよう。しかしそれ以上の情報は提供できない」
そう言い終わると同時に部屋の入り口から強烈な光が発せられた。
その逆光の中に中年太りのおっさんらしき人影が
「お前が小鳥遊寧々をオトさなければこの世は終わる!
この世の存続はすべてお前にかかっているのだ!!」
-―ガタッ!!
「いってええ!!」
俺はベッドから落ちて床にうつぶせで大の字になっていた。
タイマー式にしていたエアコンは電源が切れ、俺は少し額に汗をにじませていた。
「夢……?」
でも何故かさっきまでの経験がはっきりと思い出せる。
これが明晰夢ってやつなのか。俺は立ち上がり机の上に置いてある不思議なノートの表紙をペラッとめくった。
俺はその瞬間、絶句することになる。
-雨崎柚弦は未来の自分と出逢う―
……。
…………。
ってあれがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???
路上で拾った予言書のおかげでSSS級美少女とお近づきになれたんだが。←は? 爆裂☆流星 @okadakai031127
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