第17話 チート主人公2
主人公の在り方は色々ありますけど、個人的に重要と感じているのか「等身大」か「理想」のどちらかだと思ってます。
等身大の代表格がシンジ君でロボットに乗るのも色々悩むし、乗ってからも色々悩む。
挙句に子供の理屈で大暴れしてネルフを襲うという真似までしてます。
一方で理想のヒーローのタイプはと言えばこれは冴羽遼やケンシロウのようなチート主人公に当たります。
前にも書きましたチート主人公はこういった点でもちぐはぐなのが問題点だと思います。
ケンシロウは寡黙な男の道を歩く最強の男ですし、冴羽遼や銀時は典型的な遊び人型の主人公で粋な遊び心を見せる男です。
また、悟空や剣心はちょっと抜けてますが自らを磨く鍛錬を止めない男ですし、キン肉マンやサイタマは「やる時はやる」男です。
こんな感じで「理想の形」が違うだけで全員が「理想の男」でもあります。
「こんな風に生きたい」「こんな風でありたい」「こんな人間になりたい」理想のヒーロー像でもあります。
一方でマーベルヒーローも似たような所があります。
アイアンマンは「金があっても正義のために使う男」、キャプテンアメリカは「純粋にアメリカを大切に考える男」、ハルクは「力に溺れずに優しい心を持つ男」・・・・
アメリカ人の考えるヒーロー像なので若干日本人と違う所もありますが、一部は日本人と同じヒーロー像を持っています。
一方で等身大主人公は逆です。
その辺に居る人が主人公なので心も普通なら、体も普通。
このタイプの主人公のテーマは「成長」です。
強くなっていく過程が重要なので、アムロやカミーユのように最初は軟弱で甘ったれでわがままな主人公ですが、段々と成長していくことで、逆に教える立場にもなります。
主人公ではありませんがダイの大冒険のポップがわかりやすく、どこにでもいるしょうもない男が徐々に成長して、しまいには大魔王と戦う勇者に最後まで一緒にいる親友になります。
また、幕の内一歩はいじめられっ子から日本チャンピオンになれるほどに成長しています。
このタイプの主人公に必要なのは「努力」で、主人公を支える「仲間」、主人公を導く「師匠」、主人公と同じラインで競う「ライバル」……こういった主人公を高める存在が必要になります。
一言で言うならこれらは全て「ベクトル」で、仲間は主人公を後ろから押す存在で、師匠は前から引っ張る存在、ライバルは左右で一緒に走る存在になります。
時には主人公も止まります。
するとライバルはまだ走ってますから先へと向かいます。
師匠も立ち止まって数歩前で待ってます。
そこで仲間たちが後ろから押すことで主人公は前に向かいます。
再び走るきっかけになっていくんです。
何しろ等身大の主人公なのでこうやって周りから押さないと動かないんですね。
アムロやカミーユは周りが戦争状態なので完全に逃げ道を奪われて進むしか無くなりますし、一歩は色んな人の後押しや宮田君や千堂などのライバル、前から引っ張る会長や鷹村、後から押すファンや後輩によって前へと進みます。
こんな感じで「のっぴきならない状況」や「歩むための環境」が大事になります。
最初こそ「後ろから押す」存在が無いのであくまで最初の一歩は本人の気持ちが重要ですが、それ以降は周りが推し進めてくれます。
一方でグランディアのようなタイプでも似たような所があります。
冒険家を目指したジャスティンは最初の一歩は強い気持ちで進みますが、最後の最後でどう進めばいいかわからなくなります。
これは師匠もライバルも居なくなった状態ですね。
導き手であるフィーナやリエーテが居なくなり、ライバルであるガーライル軍も遠ざかります。
そこに現れたのは「かつての仲間」でジャスティンを後押しします。
この時にジャスティンは本当の「大人」になります。
大人になると自分で考えて前に進まなければいけなくなり、どんなに絶望的な状況でも前に進まないといけません。
ジャスティンは自らの意志で前に進み仲間と共に歩き出す。
これこそが王道です。
ここからは逆に「理想のヒーロー」になります。
子供が憧れる強いヒーローですね。
ここから理想のヒーローを描いても良し、ここからもさらに成長する過程を描いても良し。
個人的にドラゴンボールの失敗はここにあると思ってます。
悟空は際限なく強くなる一方で、逆に人を引っ張る師匠キャラになれなかった。
男の背中を見せる理想のヒーローになり切れなかったところにあると思います。
主人公の在り方をもう一度見直してみるのも良いと思いますよ?
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