第5話 卵王子カイルロッドの苦難
面白さ
時間 7
世界 0
一般 0
玄人 9
サブカル 8
影響力
サブカル 6
社会 0
世界 0
悲しいことに文学の世界では本当に消え去ったしまった名作というのがあります。
最大の理由は作者事情であって、作者に色々問題があって復刻も出来なくなるというの実情です。
この作品はもう見ることがほとんど不可能になってしまった作品です。
残念なことにブックオフで見つけることが難しいのがこの作品。
ラノベ創成期においてスレイヤーズと共に富士見ファンタジアの看板作品だったのですが、復刻すら許されない作品です。
ストーリーは眉目秀麗な小国ルナンの王子カイルロッドの話で『卵から生まれた』と言われる王子カイルロッドは年頃になっても嫁が見つからないという困った王子。
しかも趣味が盆栽と極めて地味な趣味を持っているので中々結婚相手が決まらないと国王も嘆いていた。
そんなある日、国中の人間が石化するという事態に陥ります。
魔導士ムルトによる仕業と知った王子は魔女のミランシャと謎のおっさんイルダーナフと共にルナンを助けるために旅をします。
冴木忍の作品は主人公がやたら不幸な人が多いのですが。このカイルロッド王子も例に漏れず、苦難にばかり遭います。
馬になったり、イルダーナフにからかわれたりとコミカルな部分もあるんですが、途中からシリアスになり、ラスボス『あの方』の脅威により、世界が荒れ果てて行きます。
果たしてカイルロッドは『あの方』を倒すことが出来るのだろうか?
個人的にもう一度読んでみたい本なんですが如何せん、もうブックオフにすら見つからないというレア小説です。
詳細は不明ですが作者に色々あったらしく、個人的には安否が気になっています。
作者の冴木 忍は悲劇が売りの作家でもあったので、この作品も単純にハッピーエンドとは言い難い終わり方をしています。
しかしながら、今の下手なラノベよりはよっぽど面白く、昔の作品のアニメ化が流行っている今でこそアニメ化してほしいです!
この時代の小説には多いのですが、実は魔法に『名前』が無いことが多いです。
さらに言うと冴木忍の作品には魔法に『名前』がありません。
どちらかといえば直感的に魔法を使うことが多く、手をかざしただけで人が吹き飛んだりしますし、呪文の詠唱はしてるんですけど、ブツブツ言ってるだけというのが多いです。
でも、そのせいでどこまで魔法で出来るかがわからないんですね。
体系的な説明は無いけど、出来ることと出来ないことがあって、読者はそれをわからない。
だからこそ起きる緊迫感もありました。
やたらと体系的に魔法や何かを説明する作品は最近多いのですが、そのせいで世界狭まっているように感じます。
わからないからこそ起きる『空想』それも大事なんじゃないかなと思います。
書店で見つけることがあればぜひ読むことをお勧めします!
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