28話 使徒 綾音
綾音ちゃんに案内された席につき、肘をついて窓の外を眺める。
あの後はまるでドラマというか出来事全てがドラマみたいだったけれど、教室で朝比奈さんを拘束し、その足で職員室に乗り込み、証拠になる動画を見せつけ、本人の口から直接自分のやったことを全て吐かせたことであの苦しかった日々は終わりを迎えた。
その際に朝比奈さんの退学を迫り、今度は教員と一悶着起こした綾音ちゃんは一日で青葉学園中でその名を知らしめることになった。
結局、朝比奈さんは無期限謹慎。ついでに綾音ちゃんも2週間の停学となる珍事に発展した。
因みに綾音ちゃんは転校してきた初日だったらしく、それも伝説の一つになった。
朝比奈さんが行為に及んだのは、私に告白してきたロミオ男子に恋をしていて、全く相手にされなかったことへの逆恨みだったらしい。色々辛いことはあったけれど、私は憎んだり恨んだりすることは出来なかった。
彼女が言っていた、『調子にのっている』というのは決して間違ってはいなかったのだから。
余談だが、綾音ちゃんは停学明け、いの一番に私のところに来てめちゃくちゃおっぱいを揉んでいった。しかも上手かった...
「ねえ、綾音ちゃん。気になっていたんだけど、なんで助けてくれたとき私のこと知ってたの?」
休み時間。不意に気になったので聞いてみると、
「普通、転校したら可愛い子探すでしょ?」
さも当然と言わんばかりに答えているけれど、私のカップ数まで知っていたのは一体なんだったのか、聞きたいけど怖くて聞けない!
「それと、朝比奈さんのことだけど...」
「うん。それならもう心配はないはずだよ。あれからだいぶ懲りたみたいだし、まあ理事長の孫だけあって、何気に進級はしてるけど。なによりあの男子も卒業していないからね。まあそれでも気をつけた方がいいとは思う。さっきの通り目の敵にしてるのは変わらないみたいだし」
綾音ちゃんは全て言い切ると「んーっ」と伸びをする。ちょっと猫っぽくて可愛い。
「綾音ちゃん。本当にいろいろありがとう。何かお礼がしたいんだけど、何かあるかな?あ、おっぱい以外ね。」
「じゃあお尻で!」
「お尻もなしっ!」
綾音ちゃんはおっぱいも好きだが、お尻も好きなのだ。お尻も拒否された綾音ちゃんは「むむむーん」と悩んだあと、何か思いついたようだった。
「そうだ!ゆきりんのお家に行きたい!これはナイスアイディア。ゆきりんのありとあらゆる下着を鑑賞させてもらったあとは本体をディナーとして頂こうではないかっ!!!」
本体ってなに?!?!いや、わかるけれど、それよりも問題がある。池崎さんの家に住んでいることを伝えていないし、綾音ちゃんが事情を知ったら何をするかわからない。何もしないかもしれないけれど、何かするような気がする!!
「いや〜家は片付いてないから友達に見せられる感じじゃないかなっ」
「全然おっけー!私の部屋なんて足の踏み場なんかないよ!」
いやいや、それは掃除しなさいよ...
「私の家族がすっっっっごい神経質でね、お客さんがくると不機嫌になっちゃって宥めるのも一苦労で...」
「任せて!!私のコミュ力は天元突破してるからそんなの余裕でクリアして、親友になるまであるよ!」
えー......
もうイェイイェイとテンション上がってしまった綾音ちゃんは止まらない。
私は諦めて池崎さんにチャットを送ることにした。
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