16話 クリスタ ドS 可愛い

店内に入るとなんかわからんがいい匂いと周囲からチラチラと視線を感じる...気がする。




「あ〜、いい感じに顔がこわばってますねぇ〜」




こいついい顔しやがって!満面の笑みを浮かべるドSクリスタ。

最初に話したときも口が悪いな、とは思ったが、こいつはどこか反応を見て面白がってる節がある。というか面白がってる(確定)

そして満更でもない俺ドM。信じたくない...


そんな俺を放っておいてクリスタは服を選び始める。




「えっ男の人?」「なんで?」「気まずくないのかな?」「あはっウケるーっ!」「写メ撮ろ写メ!」




おい、やめろ。写メはやめてくれっ!

でも、1枚くらいならいいですよ!


なんかパンダの気分がわかる状況だ。さぞストレスに晒されているのだろう。




「池崎さん、こっちですっ」




「うぉっ?!」




急に引っ張られた方を向くとカゴに服をいれたクリスタだった。




「試着するので見てもらえますか?」




「えっ?!いや、それは鏡で見ればいいんじゃ...」




「わかってないですねぇ〜、こういうのは人の意見が重要なんですよ?」



それはそうなのかもしれないが、もう一つクリスタはわかっているのだろう。

試着室の前で男一人、例え数分の間だとしても衣擦れの音を聞きながら待つというのは中々の拷問だ。


その証拠に...




「んふふっ」




ほんといい笑顔である。可愛い。ドS。


それからはファッションショーだった。

きれいめ系、モード系、ガーリッシュ系、赤文字系、白ロリ、黒ロリ。


凄いな。こんなに種類を網羅してたらそら流行るわけだ。




「それで池崎さん、どれが一番似合ってました?「白ロリ」」




超絶即答である。




「即答すぎてキモいですねぇ〜、そのチョイスは身の危険を感じるレベルですっ」




「いやいや、似合ってるかって聞かれたらそうなるだろ?!ほら、銀髪だし!ロリータファッションて元々は外国人のファッションを羨んで始まった文化であって–––––––––」



「もう、大丈夫です。予想してたより必死で引いてるところなんで」



「うおぉぉぉぉっ......」




答えるだけでどんどんドツボにハマっていく。友也は別にロリコンではない。


似合うか似合わないかで言えばとてつもなく似合っていたのでそう答えただけだった。色は友也の好みであった。

しいていうならロリコン気味だった。クリスタ限定ではあるが。


クリスタはこちらを見て、ひとつ溜息。




「それじゃ買ってきますね。外で待っていただいて結構ですよ。ありがとうございましたっ」



俺に見せていた服から何着か選んで会計へと向かうようだった。

言葉尻は喜ぶように跳ねていたので、決して機嫌が悪いわけではないのだろう。


クリスタが会計の列に並ぶのを確認したところでそそくさと外に出ると、とても青い空が広がっていて空気がおいしい。




「あー...全部可愛かったなあ...」




とても本人に直接言えない言葉を空に吐き出すのだった。






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