15話 日曜日
日曜日。
それは友也にとって金曜日の次に大事な曜日だ。ホワイト企業に勤め、それなりに会社に貢献していることで評価は上々だが、どうにもプライベートは充実しておらず、自己評価は冴えないリーマンだ。
そんな
都会の喧騒から離れ、恋人できた?結婚は?趣味は?飲み行かない?とかなんとか同僚や先輩や上司に言われる必要もない素晴らしい日なのだ。
だが、そんな日曜日に俺は街へと繰り出していた。
「あのー...本当にいいんですか?私お金はそれなりにありますよ?」
「いいんだよ。こう見えて社会人だし。別に薄給ってワケじゃないからな。金は使うべきところに使うためにあるんだよ」
宮本が帰ったあと俺とクリスタは話し合いをした。もう一度、勘違いとかなんでもなくマンションに住んでいいということ。
そして住む以上、お互いの為にルールを作った。クリスタに家賃や光熱費の負担は一切なし。その代わりに家事全般は任せるというものだ。
あとは帰る時間が分かり次第、互いに連絡をいれることと、ラッキースケベ防止のためにトイレと風呂には必ずノックをすることだ。
そして空き部屋をクリスタに提供するということで追加の家具を買う為に出掛けているというわけだ。
「ベッドじゃなくても布団でいいと思うんです。机だって別にテーブルでいいって言ったのに...」
むー...と不満気に唇を尖らせる。そんな表情とプラチナブロンドの髪が少しアンバランスに感じて微笑ましい。
実際、クリスタの言うようにしても良かったのだが、自分だけふかふかのベッドに機能性の高いデスクやインテリアを部屋に設置しているのにクリスタにそうさせないというのは気が引けた。
...っていうのと男の見栄である(本音)
「なんかお金で囲われてる気分で釈然としません。いやらしいっ」
「いやらしいとか言うなっ!!」
「自覚なしで貢ぐとか、池崎さん絶対キャバクラ行っちゃだめですよ?」
「行かねーよっ!貢ぐとか人聞き悪ぃなおい!!」
若干貢ぎ癖のある友也はギクッとする。
高校生のときに好きな女の子にアピールする為、バイトしてはプレゼントを繰り返し、3回目のプレゼントのときに告白してないのにフラれるという貴重な経験をしている友也である。
それはともかく、購入した商品をメモで確認する。ベッド、机、小さめの本棚。あとは衣服で終わりだ。
「あの、服は本当に自分で買いますからね!さっきのお金もちゃんと働いたお金で返します絶対に。絶対にですっ!!」
ビシッと俺を指さして宣言する。
人を指差しちゃダメなんだぞクリスタ......
「わかったわかった。それじゃあ生活必需品の中でも衣服と消耗品は自分で揃える、でいいか?」
「はいっ、それでいきましょ〜」
こっちが折れて見せると手を合わせて嬉しそうに笑う。可愛い。
テクテク歩いていく。そして歩きながら考える。
いつまで、とか話してなかったけどこれって短期間泊まるだけで発生する会話じゃないよな?!一年、二年は暮らす人の会話だよな?!
そう考えると顔が熱くなってくる。プラチナブロンドの完璧美少女(見た目は)と同居...
あれ、これ大丈夫か?俺の理性...
「あっ、ここですよ。じゃあ入りましょうか?」
クリスタが指差す先には女の子の群れ。中高生が多いように見受けられる。
行きましょうってハードル高すぎだろ。
「ここ女の子の服しか売ってないだろ?外で待ってるから行ってこいよ」
「だめ...ですか...?」
プラチナブロンドと同じ色の瞳を潤ませて上目遣いのクリスタ。
こいつ、わかっていやがる!自分の可愛さを、そして自分が可愛く見える角度を。研究しつくしてやがる!!
だが、こんな...こんな...程度の低い技に俺が屈するわけが––––––––––
「–––––はい、行かせていただきます」
あった。可愛いは正義だった。
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