14話 オムライス
考えていたより、全然普通のお願いで安心した。それじゃあとスマートフォンを取り出したところ、
「はい、出来ましたよ。結構自信作なんでどうぞ冷めないうちに召し上がってくださいねっ!」
ドンッと勢いよく目の前にオムライスが置かれる。見た目は洋食屋さんのオムライスでパセリなんかも散らしてあってオシャレだ。
「おっうまそうだな!ありがとう」
「......」
「......」
何故か黙って目を合わせる二人。笑顔なのに笑顔じゃない。普通に怖い...
宮本はクリスタから視線を外すとオムライスに視点を合わせ、スプーンで一口分のオムライスを口に含んだ。
「...ちっ、美味しいですぅ」
「ですよねぇ〜」
なんなのこの二人。謎の戦いはクリスタに軍配が上がったらしく宮本の様子に満足したクリスタは友也の隣に座って上機嫌にオムライスを食している。
クリスタのオムライスはバターの香りと絶妙な塩加減で絶品だった。バターと塩だけじゃこうはならないだろう。複数の調味料をいい塩梅でかけあわせているのか、複雑ながらも深い味わいがある。
「ふー、ご馳走様。美味しかった。クリスタは料理上手いんだな。こんな美味いオムライスは食ったことない!」
「そ、そうですか?大したことないです。これくらい...」
褒められたクリスタは満更でもない様子だ。
「池崎さん、オムライスが好きなら、わたし良いお店知ってますので、今度行きませんかぁ?」
「お、おぅ?まあ機会があれば......」
「やったぁ!やりましたぁ!デートですね、デートっ!」
その瞬間、ギロリと横からの視線を感じ横を見ると、プイッと視線を晒される。
「......女ったらし」
ぅおおおおおい!なんか今日だけでも色んな不名誉な称号を獲得してるような気がするぞ。
とまあ、そんなこんなで時間は進み、宮本は帰るということで玄関で見送りをする。
「その、なんだ。今日はありがとう」
「そんなっ、お礼を言われるようなことはなんにもしてないですよぉ」
「いや、クリスタがなんだかんだ楽しそうだったからな。昨日色々あったから気分転換にもなったと思う。だから、ありがとう」
少し照れくさい。大人になってからこんなはっきりお礼を言うことは少なくなった。大体社交辞令みたいなものだし。
「むーっ...まあ別にいいですけどぉ。あ、これわたしのチャットIDですぅ。連絡するので無視しないでくださいねぇ!きっとここから挽回するので!」
「ん?挽回?まあいいや。それじゃあまた会社で」
そう言うと宮本は帰っていった。まるで嵐のような日だった。
これ土曜日だよね?全然疲れとれてないよ。
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