第11話王都への旅立ち~私は王様の花嫁になる運命なの?・1
―ヒロイン視点―
シェーンフェルダー公爵邸はお城のように大きく、天井は体育館並みに高く、内装は荘厳華麗(そうごんかれい)で、家具は職人が真心こめて作りました! って感じの高級そうな家具ばかり。
私はそこで、絵本のお姫様が着ているような、ピンクの可愛いらしいデザインのドレスを着せてもらった。
「あのそれで、私はこれからここで何をすればいいのでしょうか?」
女神なんて言われてるけど、私は普通の女の子だし。
ここに置いてもらうなら働かないと。
「あなた様には王都に行っていただきたいのです」
そう言ったレヴィン王子の顔色はすぐれない。
「王都?」
「そこで兄に……国王陛下に会っていただきたいのです」
「国王陛下に……? えっ、それだけですか?」
こんな立派なお屋敷においてもらえるのに、お掃除とかお料理とかお洗濯とかして働かなくてもいいの?
「はい」
レヴィン王子が、私から視線を逸らす。
なんでだろう? レヴィン王子の顔すごく悲しそう。
「レヴィン王子……?」
「すみませんがボクはこれで、王都に行くのは早くて一カ月後になります。それまではこの屋敷にて、ゆるりとお過ごしください」
レヴィン王子は哀愁(あいしゅう)に満ちた目をしていた。
レヴィン王子はそれだけ言うと、うやうやしくおじぎをして、踵(きびす)を返した。
「あの、レヴィン王子」
私がひき止めると、レヴィン王子はゆっくりと振り返った。
「王都には行くときは、一緒に行ってもらえると助かるのですが……。私この世界に知り合いは、レヴィン王子とドミニクさんしかいなくて……」
レヴィン王子が悲しそうに目を伏せる。
ややあって「ええ、もちろん」という答えが帰ってきた。
顔は笑っているハズなのに、悲壮感(ひそうかん)が漂っているように見えた。
「そう言っていただけると、心強いです」
レヴィン王子は王都に行きたくないのかな? だとしたら悪いことをお願いしちゃったな。
「あの、女神様……」
「はい?」
女神様なんて呼び方なれないな、ほのかでいいんだけどな。
「王都には………………いえ、やはりなんでもありません」
レヴィン王子はその場で一礼し、部屋をでていった。
レヴィン王子、いま何をいいかけたんだろう?
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