第49話 ひとつになって
「それって、結婚・・・」
ルナさんは、首を横に振る。
「ううん。違います。ひとつというのは、文字通りの意味です」
「文字通り?」
どうして急に敬語になったんだろう。
「私がなぜ、あなたに接触したのかわかります?」
「いや」
そういえば、何でだろう?
「あなたの名前が太陽だからです」
「名前?」
「あなたも、ご存知の通り、太陽と月の大きさは、あまりに違いすぎます」
「それは、知ってるけど」
「でも、地球からだと同じ大きさに見えます。不思議と思いませんか?」
確かに出来すぎている。
「しかし、星も生きています。私の故郷の月は、まもなく爆発します」
「爆発って・・・」
「隕石が衝突します。計算上は、来月の満月の日」
「じゃあ月の人たちは?」
「彼らは月と運命を共にします。それが、定め」
ルナさんは、真顔で答える。
「今から、私とあなたは合体して、新しい月となります」
「よくわからない・・・」
「ですよね・・・。でも、そうしないと、地球も滅びます」
僕は即答した。
「わかったよ。ルナさんと一緒ならそれでもいい」
「えっ?本当ですか?」
「ああ」
迷いはなかった。
そして、一か月後
「太陽くん、いい?」
「うん」
「じゃあ、ずっと一緒だよ」
「ありがとう」
「私のほうこそ、ありがとう」
ルナさんは、自分の唇を僕に重ねてきた。
そうして、ふたりの間を円が包む。
僕とルナさんは、新たな月となった。
今もふたりで、青い星を見守っている。
月の伝説 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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