第44話 時が来た

2月になった。


「覚えているよね?太陽くん」

「ええ、ルナさん」

「月見草の種は持った?」

「持ちました」

「お弁当は?」

「持ちました」

「お茶は?」



こうして、向かう。

ルナさんの家へ。


この空き地に植えることになっている。

確かそうだ。


「太陽くん、お弁当は私と、お姉ちゃんで作ったんだよ」

ニコニコする、ルナさん。


姉が爆睡していたのは、そのためか・・・


「太陽くん、月見草は私の指示通りに植えてね」

「どうして?」

「月からも、メッセージが見えるように」

「了解」


まあ、僕にやらせて、責任取るよりましか・・・


「ちゃんと、100個ある?」

「もちろん」

「数えた?」

「数えました」

「いつ?」

「もらったとき」


ルナさんが、怒る。


「今、数えなさい」

「寒いからやだ」

「わがまま言わない」

「わがままではないです」


ルナさん、より怒る。


「いいから数えなさい」

「やだ」

「数えないと、もうキスしてやんないぞ」


一度もしてもらったことありません」


「君が寝ている時に、毎日してるから」

「その恰好で?」

「ウサギの姿で」

「ウサギにされても、嬉しくない」

「じゃあ、この姿でしてあげるから」


これは、犯罪には・・・

ならないですね。


仕方なく数える。


「確かに100袋あります」

「よろしい。じゃあ、植えてね」

「僕ひとりで?」

「女の子にさせる気?」

「そういう問題では、ありません」


ルナさんは、ウサギになる。


「ルナちゃん、ウサギだから、出来ない」


本気で、シチューにしたくなる。






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