第31話 打ち解け


「じゃあ、太陽くん、帰るね」

ルナさんが、声をかけてきた。


「何を話したの?」

「女の子同士だから、内緒」

「言うと思った」

「どうして訊いたの?」

「お約束だから」


答えてくれるとは思わなかったが、一応尋ねた。


「送って行こうか?」

「平気。ウサギの姿で帰るから」

「余計目立つし、姉に・・・」


姉は、こちらを見ている。

《男の子だから、送りなさい》

《了解》

《送り狼には、ならないように》

《なりません》


以心伝心。

姉弟なので、考えている事は、わかる。


「太陽くん、どうしたの?」

「姉がうるさいから、そこまでは・・・」

「OK」


姉が、ルナさんに親指を立てる。

どうやら、仲良くなれたようだ。


家の外に出て、近くの交差点まで見送った。


「太陽くん、誰も見てないよね」

「ああ」


ルナさんは、ウサギに変身した。


「じゃあ、ありがとう。またね」

「うん、また」


ルナさんは、跳びはねて、去って行った。


ふと思う。

「どっちが、本来の姿だ?」


女は化けるからな・・・

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