第28話

「姉に訊きたい事?」

「それは何?」

「お姉さんの仕事に関する事」


姉の仕事。


公には出来ない。

ていうか、していない。


「姉の仕事の事、話した?」

「ううん。月から見てた」

ストーカーですか?


「でも、今日は帰ってくるか、わからないよ」

「待ってる?」

「帰らないと、おうちに人が・・・」

「私、1人暮らし。知ってるでしょ?」

もちろん。


姉とルナさんを、鉢合わせさせたくない。

姉は社交的なので、喧嘩にはならない。

むしろ、すぐに打ち解ける。


でも・・・


「太陽くん、会わせたくないみたいだね」

「はい」

「即答だね」

「はい」


ガチャ


玄関の鍵が開いた。

姉が、帰ってきた。


どうしよう?


「太陽ちゃん、ただいま。起きてる?」

姉の声がする。


「太陽くん、太陽ちゃんって呼ばれているんだ?」

「機嫌のいい時はね」

「悪い時は?」

「太坊」

「不思議だね」

「僕には、当たり前」


「太陽ちゃん、誰か来ているの?」

「何でもないよ。姉ちゃん」

「いいえ。女の子が来てるでしょ?匂いでわかる」

犬ですか?


足音が近づいてくる。


そして、ノックの後、僕の部屋のドアを開けた。


観念するか・・・

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