第27話 訪問

「ルナさん?」

「うん、開けて」

窓を開ける。


ぴょんっと、入ってくる。


「どうしたの?その格好は」

「人間の女の子だと、襲われる危険性があるもの」

ウサギの姿のほうが、やばい気がするが・・・


「人間には、戻らないの」

「うん・・・今は、戻れないんだ・・・」

あっ、なるほど。


でも、ウサギの姿だと、こっちが落ち着かない。


「ちょっと、待ってて」

「何?」


クローゼットの衣装ケースから、新品のジャージとトレパンを出した。


「これでしょ?必要なの」

「さすが、太陽くん。わかってる」

「じゃあ、外へ出てるから、着替えたら呼んでね」

「うん・・・でも、下着・・・」

「我慢してくれ。ランジェリーは持っていない」


まさか、姉に頼むわけにはいかない。


言い忘れたが、僕は姉と2人暮らし。

でも、仕事柄帰りは、遅い。


両親は、単身赴任で海外。


「太陽くん、着替えたよ」

「わかった」

部屋に、戻る。


「ありがとう。でも、ぶかぶか」

「我慢しなさい」

「はーい。怒られちゃった」


たく・・・


「で、どうしたの?」

「太陽くんの、顔を見たくなって・・・」

「君のキャラじゃない」

「わかった?」

黙って頷く。


「実はお願いがあって・・・」

「何?」

「君のお姉さんに、私を紹介して」

「本当の事を、教えてください」

「だから、それ・・・」

ルナさんの眼は、真剣だ。


「どうして?」

「君のお姉さんに、教えて欲しい事があって」

「何?」


それは、姉の仕事に関係している物だった。



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