第21話 満月の夜

月日は巡る。

それは、神が与えた数少ない平等な物。


今は太陽を基準した太陽暦だが、昔は月を基準にした太陰暦だった。

旧暦というのは、これにあたる。

太陽暦になったのは、給料を払いたくないためだったらしいが、

ただ働きをさせられたのか・・・


それは、さておき・・・


「太陽くん」

「何?ルナさん」

「月が奇麗だね」

「そうだね」

「それだけ?」

いきなり怒鳴られる。

何が、悪い事した?


「普通、『君の方が奇麗だよ』とか言わない?」

「今時、そんな臭いセリフは、言う人いない・・・」

「見かけたことあるよ?」

「しゃれか、バカップルかの、どっちかだよ・・・」

少なくとも、僕はそんなキャラじゃない。


で、どうして僕とルナさんが、一緒に月を見ているかと言うと、

今日は満月。


満月の夜には、月からの交信があるらしい。

でも、僕にはわからない。

月の住人同士の、テレパシーのようなものか・・・


いつもなら、ルナさんがひとりなのだが、今夜は特別なのか、

僕がそばにいる。

ルナさんの家で・・・


ルナさんは、眼を閉じて、月を向く。

その表情には、笑みがある。

やはり、恋しいのか?


「太陽くん、9月だね」

「どうしたの?いきなり・・・」

「どうしてか、わかるよね?」

「月見草を収穫しに行こう・・・ですね・・・」

「ビンゴ」

わかりやすい。


2月まで、まだあるが・・・


時間の感覚がなくなってきている。

歳なのか・・・



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