第14話  再会

「ごめんください。」

「はーい。」

店員さんが奥から出てきた。


「すいません。少し片づけものをしてまして」

「いいえ、今来たところです」


男の人か・・・

まあ、珍しくないんだが・・・


「何の花をお探しですか?」

「ひまわりを、これで買えるだけお願いします」

ルナさんは、一葉さんを手渡した。


ルナさんは、どこから収入を得ているのだろう?

月の国のプリンセスでも、地球のお金は手に入りにくだろうに・・・


ルナさんが、ひまわりを買っている間、

僕は、店内を見ていた。


かすみ草が眼についた。

「花言葉は感謝だったな」


しばらくして、ルナさんが戻ってきた。


「じゃあ、この後も付き合ってね、太陽くん」

「お見舞いって、病院?」

「ううん。一般家庭」


どうして僕がと思ったが、ここで逃げたら、恐ろしい事が起きそうだ。

僕は、防衛本能が働いた。


ルナさんの後をついていく。

正直、怖くて話をする事が出来なかった。


ある家の前で、ルナさんは呼び鈴を鳴らす。


「はーい。どちらさまですか?」

「月野ルナです」

「開いてるから入って」

聞き覚えのある声がした。


「さっ、行くよ。太陽くん」

「えっ、僕も?」

「叱る時間を延長するよ」


仕方なく、後をついっていった。


「いらっしゃい。ルナちゃん」

「お久しぶりです」

台所から、女の人が顔を出したが、

僕の顔を見て、驚いた。


「あっ、あの時の!ありがとうございました」


記憶をたぐり寄せるのに、時間がかかった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る