第3話 恩
「新聞、見たよ。絶対に、○○くんでしょ?」
「違うよ」
「隠すところが、また素敵」
女子と陽キャラが、会話している。
女子は僕を見て、「あんたには、できないわよね」という視線を送る。
それで、構わない。
≪与えた恩は忘れなさい。受けた恩は忘れてはいけません。≫
そう言いきかされて育ったし、僕もそう思う。
うん、あの人を助けたのは、僕ではない。
救急車だ。
そして、お医者さん。
僕ではない。
そして、下校時・・・
「ねえ、」
声がしたが、かけられたのは、僕ではないだろう。
「ねえ、△△くん」
「僕ですか?」
「うん」
笑顔で頷く。
この子は、誰だ?
見覚えがあるが・・・
名前は出てこない・・
「昨日、見てたよ」
「何を?」
「妊婦さんを助けたのは、君でしょ?」
見られてたのか・・・
でも、面倒だ。
「違うよ。人違いだ。僕には出来ない」
そういって、帰ろうとする。
「どうして、名乗り出ないの?『あれは僕です』って・・・」
「だから、人違いだって。仮にそうだとしても、当たり前の事だ。」
かかわらないでほしい。
「じゃあ、ひとつだけ訊かせて」
「何?」
「私の名前は?」
「知らん」
「クラスメイトでしょ?」
「興味ない」
普段は、僕の事は無視している。
なのに、何で構う?
理解に苦しむ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます