赤の内側の少年
「……?
…………?
ねえ、ナブラ聞いてる?」
「あ! ごめん!」
「ナブラどうしたんだよ!
さっきからずっとボクの顔を見て黙ったままだけど何か心配事でもあるのか?」
「ううん、ごめん。
何でも無いよ」
「そっか。
心配したよ」
「ねえ、ラプラシアン?」
「どうした?」
「その光る石のペンダントって何種類持ってるの?」
「この石のペンダントのこと?」
「そうだよ」
「これ一つしか無いよ。
だけど、どうしてそんなこと聞くんだよ?」
「一つってどうして?
この前見せてくれたのは
赤い石のペンダントだったよね?」
「何を今更。
ナブラはボクをからかってるの?
これ赤い石のペンダントじゃないか」
「赤い石?
何言ってるの?
その石、どう見ても緑色じゃないか」
「赤だよ。
ナブラ、キミさっきから様子がおかしいぞ。
疲れてるじゃないか?」
「疲れてなんて無いよ。
じゃあナブラにとって
それも赤なら、本当の赤とどう見分けるんだよ。
例えば、僕の服に赤い模様が少し入って……、
あれ?
赤……く無い、どうして?」
ナブラは急に怖くなった。
そして、色の感じにくい牢獄の中を見回すのを諦めラプラシアンと自分の身体中を隅々まで見回した。
「ねえ、ラプラシアン。
大きく口を開けてみて?」
「あぁ~ん!
おお?」
「やっぱり!」
ナブラはそこでやっと気がついた。
ラプラシアンの口の中も淡い緑色だったことに。
そして、ナブラがラプラシアンと再会した時の彼の第一印象の違和感は赤みの失われた緑がかった肌と唇の顔色の変化からだった。
「僕の目、どうしちゃったんだろう?
あ!そうだ!」
ナブラはそう言って突然素晴らしいアイディアを思い付いた発明家のように目をキラキラ輝かせた。
「ねえ、パパ! お姉ちゃん?
パパ達はこのペンダントや
ラプラシアンの唇や口の中は何色に見える?」
「…………?」
「…………はい?」
「え?」
ナブラな父と姉の予想外の反応に困惑し、
どう話を続けたらいいかわからなくなった。
「ごめんな、ナブラ。
パパもお姉ちゃんもナブラが言ってる意味がわからない」
「わからないって……何で?」
「このラプラシアンの!」
「ねえナブラ?
あんたさっきから1人でラプラシアンがどうだとか独り言言ってるけど大丈夫?」
「パパもお姉ちゃんも、
ラプラシアンが見えないの!?」
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