ナブラの決意
「つまり、ラプラシアンはそのオーパーツって言う村の宝物を取り返しに盗賊のアジトに潜り込んだって訳だね?」
「そうなんだ。危険な場所に君を巻き込んでごめんな」
「いいよ。
君が止めるのを聞かずに僕が勝手に入って来たんだし。
でもさ、ラプラシアンはどうして異世界に住む僕に声をかけたの?」
「それはさ、異世界の何か役に立つ道具を
貸して欲しかったんだ。
決してキミをこんな危険な世界に巻き込むつもりは無かったんだ。
本当にごめん……」
「ちょっとラプラシアン?
そんな頭を下げないでよ!」
「今から帰りのゲートを開けるから、
キミはアジトの奴等にみつかる前に早く帰るんだ!」
「帰りのゲートってちょっと待って!
僕達知り合ったばかりだし、
もう少し君に協力させてよ!」
「なぜそうまでしてボクの力になってくれようとするんだ?
キミにとっては命の危険ばかりで
何一つメリットは無いはずだろ?」
「メリットならあるよ!
僕は昔から異世界の冒険に憧れていたんだ。
だから、もう少しラプラシアンと一緒に行動させてよ! いいでしょ?」
「駄目だ!
ここは冒険が楽しめるような生ぬるい世界じゃないんだ。
自分の身近な大切な人達が、奴等に面白半分に平気で殺されるんだ!」
「ちょっとラプラシアン?
何してるの?」
「ゲートを作ってるんだ」
「あ!そうだ!
このゲートで君も一旦隠れようよ!」
「駄目だ……」
「え? どうして駄目なの?」
「このゲートに入れるのは君たち異世界人だけでボク達には入れないんだ……」
「そ、そんな……。
どうして?」
「誰だ!
そこに誰かいるのか!?」
「あ! マズイ!
早くゲートに入れよ!」
「嫌だ~!
ラプラシアン、逃げよう? さあ!」
「お、おい!」
ナブラはゲートで帰還させようとするラプラシアンに抵抗すると、手を握り追っ手とは反対側へ走り出した。
「グサッ!
ドス!」
「え?」
◇オーパーツの解読に必要だろうが!
二匹とも殺してどうするんだ?
ボスに怒られるぞ!◇
◇いいや、切り口は浅い。
脳を揺さぶって気絶させただけだ◇
◇…………◇
ナブラの視界はぼやけ、
周りの音も段々と聴こえなくなった。
必死にもがき奴等に抵抗しようにも、
心身ともに力が入らず強烈な睡魔に抗うことは出来なかった。
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