予想外の展開
ネイピアは続けた。
「ラジアナの心技 『神ウニ』は自分だけが攻撃不可になる代償のかわりに
自分を無敵にする技だけど、
ステラシアンの超速球攻撃と組み合わせるとどうかしら?
広範囲が無敵になるって思わない?」
「なるほどですね~!
あ!でもそうしたら、こちらの攻撃もシメントリアに当たらなくなるんじゃないですか?」
愛理栖の意見はもっともだと、そう真智も思った。
「そこはちゃんと考えているわ。
アイリス! 今から一瞬だけラジアナにステラシアンの動きを弱めてもらうから、
その間にシメントリアを引付けて時間を稼いでくれる?」
「私に囮になれってことですね?」
「そうよ。駄目かしら?」
「大丈夫ですが、どうして私なんですか?」
「あなたは光の速さで動けるでしょ?」
「あ、なる程ですね。わかりました」
「ありがとう。
ねえ! ラジアナ? あなたも今の話聞こえていたかしら?」
「うん、聞こえてたよ!
わかった。一瞬動き弱めるね!
ファンシー、どうどう!」
「クイン?」
「今よ!アイリス!」
「はい! アイリス行っきま~す!」
「お願いね……」
愛理栖が飛び出すと、無敵の球はまたすぐに機能を取り戻した。
囮として立ち回る愛理栖は早すぎて真智達には全然見えない。
しかし、シンメトリアはその速さに追い付くことが出来ず、愛理栖のペースに翻弄されてるようだった。
「よし、上手くいってるわね!
クオリア? あなたの召喚でマイナス1次元の時限式ブラックホールを生み出すことはできるかしら?」
「確かに、次元の差が少なければ大丈夫だと思うわ」
「じゃあ、お願い。
もう一度ラジアナにあなたが球の外に出る隙を作って貰うから、
その間に球の外に出てそのブラックホールを作ってもらえるかしら?」
「ああ。わかった」
「ねえ、アイリス?」
「なんですか? ネイピアさん」
「今からクオリアにも球の外に出てもらうから、
ブラックホールが完成するまで彼女からタゲを逸らして護衛して欲しいの!
いいかしら?」
「わかりました!」
「ありがとう。
クオリアのブラックホールが完成したらクオリアは球の中に引き戻すから、
ブラックホールまでのシンメトリアの誘導、お願いできるかしら?」
「わかりました!」
神速で注意を引付けながら逃げる愛理栖。
そのすきにクオリアは時限式のブラックホールを完成させた。
クオリアがブラックホールを完成させ球の中に戻ると、
愛理栖はネイピアの指示通りにブラックホールが生まれる場所までうまく誘い込んでいた。
『10、9、8、7~』
作戦をしる真智達は全員、
心の中で時限式ブラックホールのカウントダウンをしながら、
その様子をかたづをのんで見守っていた。
「ゼロー!!!」
そして、最後のカウントはみんなが直接言葉に出して叫んでいた。
時間に数秒たがわず無事にブラックホールが出現した。
そして、シンメトリアはブラックホールに吸い込まれまいと必死にもがいていた。
そうやってもがき苦しむシンメトリアはとうとう、
取り込んでいたグリを吐き出した。
「やったわね」
「やったわ」
「やったね♪」
「うっしゃー!」
「やりましたねー♪」
「あれ、みんなちょっとアレをみて!?」
「え!?」」」」
愛理栖の一言にみな一斉に振り向く。
「グリの様子なんだけど、
何だか様子がおかしく無い?」
ここにきてネイピアでさえも予想外な出来事が起こった。
グリが突然、シンメトリアの傍にかけより、
そしてブラックホールからシメントリアを救い出したのだ。
「え? あなたどうして……?」
あろうことか、グリは両手を広げ、大の字で後ろのシメントリアを庇っている。
そしてグリは、重い口を開けた。
「俺、思いだしたんだ……」
——————————————————————
↑【登場人物】
•
•愛理栖(アイリス)
•クオリア
•ネイピア
•ラジアナ
•ステラシアン(ファンシー)
•シメントリア
•グリ
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