第6話 ドッペルゲンガー
「え?」
上野は思いもよらぬ一言に完全に固まった。
「あれ?聞こえなかった?俺と友達になろうよ」
「え、あ、いいけど...」
「じゃあ今日俺オフ日だから一緒に駅前のスタバでも行かない?奢るからさ」
「悪いんだけど、俺ご飯作らないといけないから帰らないと」
「え!ご飯って上野君が作ってんの!?すげえ!俄然君に興味湧いてきた!」
(意外と田中君って変人なのか?)
「じゃあまたね」
「あ、うん」
田中は上野の横を通り教室を出て行こうとした。その時、上野は確かに聞いた。
「上野君って北川さんのこと好きなんだね」
「......は!!?ちょっと!おい!」
田中はうっすらと笑みを浮かべながら上野の赤くなった顔を見ながら教室を後にした。
「終わった...」
(なんでバレた?1回一緒に登校しただけでバレるか?いやいや、ふざけただけだ。ここで下手な反応して本当にばれたらどうする?落ち着け。大丈夫。)
一目惚れ2日目。クラスで初めての男友達。そして突然のピンチ。またまた頭がパンクしそうだった。そんな調子で廊下を歩いていると、目の前に人影。
「あれ?北川さん?どうしたの?」
「.......」
そこには、紛れもなく北川唯.....にしては髪が長い。それに若干茶髪だ。
「北川さんって...あんた誰よ」
「誰って、俺だよ。上野」
「あんた、そういえば今朝唯につきまとってた野郎ね!?今度つきまとってたら許さないわよ!あと、初対面の人に馴れ馴れしいわよ」
お互い様じゃ...と言いかけたが唯と瓜二つの彼女は廊下の奥へと去っていった。すると後ろから
「あれっ、直也どうしたの?廊下のど真ん中で立ち尽くして」
こちらも北川唯だ。
「え!?今あっちに北川さんが...もしかして、ドッペルゲンガー!?」
「え!?ドッペルゲンガーってあの本人と会ったら死ぬっていうやつでしょ!?私まだ死にたくないよ!」
と、そんなくだりをしていると前から、
「なーにがドッペルゲンガーよ。バッカじゃないの?」
「あ、なんだ...」
「出た!ドッペルゲンガー!」
「って、あんた!!また唯につきまとってるわね!?ぶっ飛ばしてやるわ!!」
「え?いや、ちが...」
直也がそう言いかけた時、すでにロングヘアーの方の北川唯の渾身のビンタが上野の左頬を捉えていた。
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