§1 Rich and Strange 3

 けっこう広いし、なかなか綺麗な部屋だな」


 はづきに言うでもなく呟くと、フローリングの部屋の真ん中で、おれはあぐらをかいた。

荷物も全部運び込まれ、冷蔵庫や食器棚なんかもいい具合に配置し、くつろぐスペースもできて、引っ越しもようやく一段落。

ゴールデンウィークが過ぎると、本格的に春めいてきて、額や背中にじっとりと汗をかいている。


おれの部屋は205号室。

この二階建てコーポの階段を上がって、いちばん奥の部屋だ。

玄関を入ればすぐにダイニングキッチンがあり、その奥には8帖ほどの洋室。

角部屋なので、3面に窓がある。

フローリングの床は明るい木目で、うららかな春の光がキラキラと反射している。

パタパタと顔を手で仰ぐおれの前に、フェイスタオルが差し出された。


「はいタオル。すごい汗ね。早速シャワーでも浴びる?

バスとトイレもわかれてるし、お風呂も広くて窓もあるのよ。独身者向けの社宅としては、上等なんじゃない?」


見ると、はずきはもうキッチン用品の入った段ボール箱を開けていて、食器やカトラリーを洗い終え、今はタオルやシャンプー、リンス等のお風呂グッズを出しているところだった。


「それにしても、ヒロの会社に文句言いたいわ!」


タオルで顔を拭いているおれの横で、バスタオルをたたみながら、はづきは奮然とした。


「なんでだ?」

「ゴールデンウィーク期間中に引っ越しだなんて、人の貴重な休みをなんだと思ってるのよ。

しかも、こんな遠くの営業所に飛ばされちゃって。

いきなり遠恋じゃない」

「仕方ないよ。

入社して最初の一ヶ月は研修期間で、5月から正式な部署に配属されるってのは、最初から言われてた事だし」

「…でもぉ」

「初めて来たけど居心地よさそうな街じゃん。適度に郊外だけど、駅前にショッピングモールもあったり。途中にコンビニもいくつかあって、便利はよさそうだし。

遠恋っていっても、はづきの家とは電車で2時間くらいの距離だから、いつでも逢えるよ」


そう言ったおれは、彼女の機嫌をとるかの様に、キスをした。

首に腕を回して、はずきは受け入れる。

新居での初めてのキスは、ちょっと埃っぽかった。


「ね。いっしょにシャワー浴びよ。ふたりとも埃だらけだもん」


長いキスのあと、唇が離れたはずきは、おれの着ているトレーナーの襟を引っ張り上げた。

素直に両腕を上げ、トレーナーを脱がせてもらうと、おれもはずきのチュニックをまくりあげ、ホックを外したショーパンを引きずり下ろす。

腰を浮かせてパンツを脱いだはづきは、おれのジャージのパンツにも手をかけ、笑いながら引っ張って、剥ぎ取る。


 ふたり裸になって、バスルームになだれ込む。

はずきの言うとおり、シャワーのついたバスルームは、1DKの小さなコーポには不似合いな広さで、おとなふたりが入っても余裕があった。

ブラインドのついた大きな出窓のおかげで、開放感もある。

シャワーを浴びながら、おれたちはお互いのからだを洗いあった。

張りのあるはづきの大きな胸が、柔らかなシャワーのお湯を弾いて、おなかからへそ、腰を伝って滴り落ちる。


「あん。感じるぅ」


ふざけた口調で、はずきは甘い声を出した。

調子に乗ったおれは、さらにはづきの快感のツボに、シャワーを強く当てた。

負けじとはづきも、おれの脇をくすぐってくる。

そうやってじゃれているうちに、どちらからともなくその気になり、バスタブのふちにはづきを座らせたおれは、彼女の脚の間に割って入ると、青草の様に柔らかい秘部に顔を埋めた。


「ん、もうっ。エッチぃ」


そう言いながら、はづきはシャワーをおれの頭に当てる。

水流で溺れそうになりながら、はづきのいちばん敏感な突起を探り当て、舌先で転がす。


「はん、、、 あっ。ああ…」


淫靡いんびな声が、バスルームの中でこだまする。


「こんなとこで… イヤ」


シャワーヘッドをおれの頭をに押しつけ、やんわりと拒むはづきだったが、言葉とはうらはらに、どんどん甘い蜜を溢れさせ、それがシャワーの水と混ざって、トロトロとした感触を残す。


「家具屋からベッドが届くのは夕方だし。ほら、向こうをむけよ」


はづきのからだを起こしたおれは、そう言って出窓に手をつかせる。

プルンとした大きな丸い尻が、シャワーの水を弾いて目の前に突き出される。

なんともいえない、いい眺めだ。

細い腰を鷲掴みにしたおれは、もっちりとした双丘の奥まった秘部に、充分に昂まった自分のモノを、ゆっくりと埋め込んでいった。


「んっ… あふ」

「いいぞ、はづき…」

「ヒロ。愛してる…」

「おれもだ」

「んんっ。いい… んああああぁ~~~っっ…」」


粘り気のあるはづきの声が、おれの五感を刺激する。

明るく張りのあるはづきの悶え声は、おれの耳に心地よく響いてくる。

柔らかなくせ毛も大きな丸い瞳も、ぽってりとした唇も、女らしくて好きだ。

適度に丸みを帯びたからだも、悩ましい曲線を描いていて、そそる。

こうして背中から見るはづきは、お尻の大きさとウエストのくびれが強調され、より色っぽく感じる。

つきあいはじめてかれこれ2年になるが、今でも新しい発見があるし、どんどん彼女の魅力にはまっていく。


出窓のブラインドから差し込む高い光が、はづきの背中に縞模様を描く。

腰のリズムに合わせる様に、たわんでは押し潰されていく尻。

ぬっとりと汁が絡みついたモノが、はづきの蜜壺からずるずると引き出されては、沈み込んでいく。

その淫らな光景を眺めながら、おれは果てた。


つづく

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