エンディング2

GM:結界から出ると、そこはあやふやな空間となっている。天上にあった星の残骸のようなモノだろう。無数の世界が触れ合い、重なる場所。“鏡”の枠のようなものが無数にういて、遠くで光が明滅している。


フランシス:「どうやら、少し喋るくらいの余裕はあるみたいだね、ティナ」 


ティナ:「そうね。色々と気になることはあっただけに、少し名残惜しいわ」 


フランシス:「……ふふ、ティナは本当にぶれないよね。屋敷の中でも、ずっと引っ張ってもらった気がする」 


ティナ:「そりゃそうよ、私のほうが年上だし、遺産の研究なんて胡散なことしてれば、こういうのは慣れっこだもの」 


フランシス:「そっか」


フランシス:「……ティナ、ありがとう。"相棒"があなたで良かった」 


ティナ:「ええ、私もそう思う……そうだ。もしよかったら、これ受け取って」


 そう言って、ティナは蝶をモチーフにした髪飾りをフランシスに渡す。


フランシス:「もらってもいいの?」 


ティナ:

「ええ、悪くない経験だったし、あなたと一緒にいたのも楽しかった。だからこれは、そのお礼。デザインも、あなたに似合いそうだったし。


 その中には、”守護”を意味する式が刻まれている。何かあった時、あなたの身を護ってくれると思う。まだ具体的な方向性を与えてない状態だから、身に着けているあなた次第で、どう作用するかは変わってくる。だから何が起こるかはわからないし……お守りみたいなものだと思ってもらってもいいわ。

 発現は一度きりだけど、あなたなら一度見れば同じことをするのは難しくないと思うし。気に入ったら使って頂戴」 


フランシス:「なら、受け取るわ。ありがとう」


 その場で身につけますね。 


ティナ:「うん、よく似合ってる」


フランシス:「私からも何かあげられればよかったんだけど……ううん。

 それじゃあ、こうしましょう。元に戻った時、もしまた会えたら、あなたの手助けをするわ。それが多少私の不都合になっても、あなたに味方する。


 ……あと、ゆっくりお茶でもしましょうね」 


ティナ:

「ええ、きっとまた会えるわ。だって私、ドレッドノートの家について、ちょっと興味が湧いてきたもの」


 そういってにやりとわらうと、フランシスの影に白いビーズのようなものを投げ込む。するとそれは、影からなにか黒いものを吸い取り、色が変わる。……ということで、《まだらの紐》を解除しておきます


「あなたが協力してくれるなら、これはもう要らないわね」


 そう言って、吸い取ったビーズを拾い上げる 


フランシス:「驚いた。全然気づかなかったわ」 


ティナ:「あなたもあと数年もすれば、この手の権謀術策渦巻く世界に足を踏み入れるわよ」


 そう言ってクスクスと笑う 


フランシス:

「そういうものとは無縁でいたいなあ。できることなら平穏が一番だよ。

 ただ、それでもあなたを助ける約束は変わらないからね」 


ティナ:

「ドレッドノート家の淑女でしょう? 否が応でも巻き込まれるわよ。そういう世界だもの。……私みたいに面倒事はほとんど兄さんに押し付けて旅でもするなら別だけど、あなた、そういうタイプにはみえないし」 


フランシス:「そうか……そうだね。覚えておくよ」


GM:次元の狭間で交わされる少女たちの約束。終わりは近い、眩い光が前方に二つ。異界の出口だ。 


ティナ:「……そろそろ時間ね。行かなくちゃ」 


フランシス:「ええ。……さようなら、ティナ。また会いたい」 


ティナ:「私も。また会いましょう、フランシス」 


GM:

 それぞれの光へ包まれ、思い出をその手と心に携え、おのおのの世界へと帰っていく。


 気がつけば元の部屋の鏡の前にいる。まるで夢でも見ていたかのようだ。

 そこに映る時計は眠る前に見てよりわずかに1分しか経っておらず、12時1分を示していた。



Fin.

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