クトゥルフホラーと人間模様には
定評のある大御所の、ちょっと和風な
ホラーである。
壮大な物語ではあるものの、それに
空間の広がりを示唆する共時的な
軸だけでなく、お城の井戸に纏わる
通時的な軸が絡むのだ。
主人公は女子高生二人であり親友の
彼女たち。何でも話せて信頼し合う
仲ではあるが、実は秘密を抱えている。
その秘密が途轍もなく悍ましい。
土地の歴史に関わるものだが、この
くだりが、とても和風なのだ。兎に角
次から次へと驚かされる。更には
彼女たちのヒリつくような愛憎半ばの
友情が怒涛の様に襲って来るのだ。
ミステリーとしても陰惨なホラーと
しても、壮大な邪神物語としても。
ついつい時間を忘れじっくり読み込んで
しまう。
ホラーファンだけでなく、ミステリーや
人間ドラマを堪能したい方にもお勧めの、
作者の魅力的な書庫。
ぜひ、訪れて欲しい…!