第7話

 爆音と、爆風が届いて。

 ブレイクは顔を背け。

 過ぎ去ったあとには、海が割れ、海底が抉れ。

 海水が埋め戻し、大きく盛り上がって飛沫をあげ。

 つぎには波となって同心円状に伝播して行った。

 地獄か。

 飛行機に波が到達しようとしている。

 重力魔法を使って飛行機をもちあげた。危ないところだ。

「サッカー、大丈夫か」

「危ない所でした」

「バカなのか」

「むう」

 飛行機の出入り口に腰かけて、膝に端末を載せている。飛行機を海に降ろす。

「で、今のは?」

「衛星からレーザー兵器をぶっぱなしました」

「それで時間稼ぎが必要だったんだな。あの威力、星を壊そうとしてなかったか?」

「ちゃんと出力コントロールしてました」

 それであれ? イカなんてなにも残ってないだろ。サッカーのコントロールはアテにできない。

 嵐はイカのせいだったらしい。見る間に空が晴れてゆく。

 ああ、イカ。食べそこなった。うまくないかなって予想はしていたけど、食べられなくなると一口くらい食べておきたかったと思うのが人情というもの。

「おーい、ふたりとも大丈夫?」

 ステッキに掴まって海面を飛ぶようにやってくるユリン。水着を着たから海に入りたかったのだろう。

「この世の終わりみたいにド派手だったね」

 ステッキに乗って浮き上がる。

「ユリン、水着は?」

 全裸だった。

「あれ? さっきまで着てたんだけど。海の途中で脱げちゃったかな」

 そんな水着があるか。

「まあまあ、一緒にお風呂に入った仲でしょ?」

「ここは風呂じゃない」

 それはそれでよくわからない理屈ではある。なぜ風呂なら裸を見てよいのか、風呂に一緒にはいっちゃいけないんじゃないか。そうではないのか。

「また飛んでゆくの? お尻痛くなりそうなんだけど」

「たしかにな、ユリンの実家みたいにちょっと山奥まで飛ぶってのとはわけが違う」

「山奥じゃないし」

 それは言いすぎだろ。

「船用のエンジンは無事でした。海を船で行きましょう」

「この飛行機、船にもなるのかよ。すげえな」

「えへん」

 胸を反らす。ぽよん。あ、こっちも全裸だ。服を着る時間あったんじゃないか?

「ふたりとも服を着てくれ」

 飛行機は船に変形し。ふたりに服を着せることに成功し。ブレイクの服はずぶ濡れ。

 ひどい目に遭ったけれど、どうにかタイに向けて進行を再開した。

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