第3話 携帯ショップ

スマホが欲しいとほざきだした、スライムに、俺は頭を悩ませた。 はっきり言ってスマホは高いし、こいつの為に契約なんか、したくない!


「そもそも、何でスマホが必要なんだよ?」


「ふっ、理由は単純スラ!ゲームをしたいからスラ!」


ダメだこいつ.....ただの遊び人、いや遊びスライムだ。 何か良い案はないだろうか......!あっ!そうだ!


「ほら、これをやるよ」


直人は部屋にある机の引き出しから、今は使ってないスマホを取り出し、スライムに渡した。


「古いのはいらないスラッ!」


スライムは、ぷいっとそっぽを向く。


古いスマホで家のWi-Fiに繋げりゃ、実質費用はかからない作戦には、引っかからなかったか。


直人は心の中で舌打ちすると、また別のプランを思いつく。


「わかったよ。じゃ、スマホを見に行くか」


「早くそう言えスラ」


スライムは俺に向かって飛び跳ねると、俺の頭の上に乗っかる。


「何、ぼーっとしてるスラ?早く歩くスラ!」


「勝手に人の頭に乗るな!自分で歩け!」


「歩くのは大変スラ。だってスライムなんだもん!」


スライムは傲慢な態度をやめて、ぶりっ子になる。


「可愛い子ぶっても、俺には通じないぞ。って、恥ずかしいから頭から降りろ!」


「嫌スラ。人間の頭は乗り物と教わったスラ」


「誰がそう教えたんだよ?」


「人間界を知り尽くしている、偉い先生からスラ」


スライムは誇り高そうに、鼻をふんっとならす。


どうせ、碌な教師じゃないなと思った俺は、仕方なく大型電気屋へ行くことにした。

あ、スライムは脇に抱えてな。


某家電量販店につくと、スライムはもうダッシュで、スマホコーナーへとかけていく。


俺もスライムがいるところへ行くと、やつは一台のスマホを俺に見せる


「これが良いスラ!」


俺は怠い気持ちで、ヤツが手に持ってるスマホを見た


「ああんっ!?これ、ココモのZperiaじゃねぇーか!しかも、1番高スペックな奴」


「そうスラ!、しかも、毎月たったの9000円スラ!とても安いスラ!!」


「ふざけんな!安くねぇーよ!」


ヤツは、「スラッ!」と言うとブツブツ一人言を言って、俺を睨みつけてきた。


俺等の会話を聞いていた、ココモの店員は、ここぞとばかりに、別の安価なプランを提示してきた。


何やら、ネットを使った分料金が安くなるから、家にずっといてWi-Fiで接続してるなら、もっと安くなると言ってきた。


「へぇ〜いくらになるんですか?」


「6000円ですね!」


高いっ!俺は心の中で突っ込む。俺のは約3000円だぞ!?


ヤツは、スマホを頬擦りしながら、「このスマホを離さないスラ〜」とうっとりした声で言う。 その様は、「マイ・プレシャス」とひたすら指輪を愛でてた、ロー〇・〇ブ・ザ・〇ングに、出てきたキャラに被る。


恐ろしいスライムだ。


どうしたものか?と俺は悩みに悩んだ結果、ヤツにこう告げた。


「なあ、スマホはまた別の日に見に来ないか?」


「スラッ!?」


「いや、ほら、さあ、スマホって直ぐに進化して、もっと高スペックなのが出るんだよ!今、買ったら2年間それを使い続ける事になるんだぞ?」


本当にそれでいいのか!?と問い詰めると、ヤツは少し考えて、「また今度にするスラ」と案外簡単に引き下がってくれた。


俺はその言葉を聞くと、ほっと胸を撫で下ろした。


こうして、俺とヤツのスマホ戦争は、停戦状態にでき、行きとは違い帰りは足取り早く帰宅できた。


もちろん、ヤツを脇に抱えてな。

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