第五話
八
―10月18日(水)―
―神奈川県中部住宅街、アパート―
真っ暗な部屋の中で携帯の灯りだけが見えた。
しょう?「おれ…子供の頃学校が嫌で嫌で仕方なかったんだァ… でも、そのせいで明るいコがダメでさ…病んでるコの方が良いんだよ…自分みたいなさ…だから、ダメ人間だって思って、死ぬ相手探してたのかもしんない…」
しおり『そんな…しょう君が死んだらヤだな…だって、こんなに色々話せて解り合えてきた気がするのに…』
しょう?「ホント…? じゃあ、前言ったみたいに会おうよ」
しおり『それは前も言ったじゃん…しょう君に殺されたくないもん…しょう君が犯罪者になるのが嫌だし…ヤだよ…会いたくない』
二言目は、とても重かった。
しょう?「おれだったら、苦しまずに殺して上げられるよ… 前言ってた、嫌な仕事や上司からも解放して上げられるよ? 自殺するくらいならおれが殺したい…」
しおり『それでも それでも…ヤなんだもん… もう止めて? この会話…』
しょう?「そっか…ごめん…嫌いにならないで…謝るから…」
唐突に弱くなった言葉に、逆に驚いてしまった。
しおり『もういい、もういいよ… 気にしてないから…!』
しょう?「いや…ホントにごめん… でも、しおりちゃんには感謝してるんだァ…8月に遣り取り始めてから…やりたい事をやった方が良いって…言ってくれて…救われたんだ…」
しおり『そんな…ただ、なんとなくその時に、そうした方が良いだろうなって…思っただけだよ…思いつき』
しょう?「それでも…助かってる…それからは気が楽なんだァ…やりたいことが出来る様になったカンジ…」
しおり『それなら良かった… ?…アレ?』
しょう?「なに…?」
しおり『後ろに誰かいる?』
しょう?「は…? 誰もいないけどなんで…?」
しおり『後ろから女の人の声が…あー!もしかして事故物件?』
しょう?「止めてよー…そんな冗談…もう切るよー…?」
しおり『ごめんごめん でも、夜も遅いしこれくらいにしようか?』
しょう?「そうだね…これくらいにしよっか…」
しおり『うん…またねー』
しょう?「うん…またー…」
そう言って、電話を切って携帯を床に置いた。
しょう?「ふう…」
一息吐いて、後ろを向いた。
其処には首を吊られて動かなくなった女性が在った。
しょう?「おかしな話だよねぇ…? 声が聞こえたんだってさ 君ぃ…もしかして喋った? …なーんて、ね…」
そう言うと、女性をロープから降ろし、手際良く服を脱がせ、風呂場へと引き摺って行った。
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