最終話

五十



―6月1日(金)夜1時25分―


―高速道路 帰路―



白の男「なんなんだよ!? あのヒゲはよー!」


車内には、怒号が飛び交っていた。


それは、ほぼ、鈴木の事であった。


白の男「そもそもがシッツレイなんだよ! 最初に俺の詳細を受け取らないとか!」


青い男「…なら、"どうしても必要だ"って押し切らなかったのは、何でですか…?」


運転しながら、問い掛けた。


白の男「そーゆー空気じゃなかったろうが!」


青い男「…そうですか」


そう言ったきり、運転に集中し、黙った。


黒い男「…落ち着いて下さいよ」


白の男「そもそもな! 四国むこうにゃ無ぇっつってんじゃねーか! なのに 四国むこうでとか…

バカか! メガネのクソヒゲ野郎がよ!」


余りの怒号に車内の中之含めた三人は黙ったままだった。


白の男「そもそもな! 中之! オメーの問題でもあるんだからな! あんな魔に取り憑かれやがってよ! 迷惑こうむってんのは俺なんだからな! 解ってんのか!?」


まくしし立てる様に中之に怒りをぶつけ、それに対し、萎縮し始め、パニクり始める。


中之「ぇ!…あ…! ぁあ…! ハイ~…! スイマセン~…」


最早言葉に成らなかった。


白の男「それで済むか!バカ!」


黒い男「解りましたって…!」


静かにだが、強い意思を込めて言う。


白の男「そもそもな! あんな協会ダメだ! お前が居ても何も救えねーよ! あんなダメ組織!

どーせ一部の人間だけ選んでんだろうからよ! 全部救えるワケねんだからよ!」


黒い男「そうですか…」


こうなったら聞かない…


もう黙った。


だが、その怒りは収まらなかった。


その間に、被害者全員を病院に送り届けたとの報告が、雄一と協会から、そして、依頼完了の報告も協会から携帯端末に届いていた。


それに気付きながらも、返信する気力は生まれなかった。




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