第二十二話

四十九



―6月1日(金)夜0時55分―


―町田市 南 廃工場 駐車場―



皆連れて駐車場まで戻ってきていた。


雄一「…」


へこむ者、


中之「あの~…ぼくが春ちゃんの介抱していいですかァ?」


変わらぬ者、


青い男「大丈夫ですか?」


悩む者、


そして…


白の男「ィよぉーし! やったなー!」


喜ぶモノ…


黒い男「まぁ…そうですケド」


白の男「じゃ、コレでオッケーだな?」


黒い男「はい?」


その突然出た言葉の意味が解らず出る。


白の男「協会だよ 復・帰」


黒い男「あぁ…まだですよ その前に、彼女達の状態と、この場所からの撤退を…」


途中まで説明した処で、


白の男「おー そうか」


と、さえぎる様に納得する仕草で素直に聞く。


こういう時とかは何故か素直だった。


鈴木『いえ、今で良いでしょう』


そう言いながら、鈴木がバンの中のモニター越しに言う。


何時いつの間にそうしていたのか…


黒い男「え…!?」


有り得ない言葉に思わず声が出る。


白の男「お♪ ありがとうございますー!」


そのモニターに向かって頭を下げつつそう言った。


鈴木『そうですね… 控えめに言って、アナタの今回の行動は、ダメです』


ハッキリと断言する。


白の男「…は?」


鈴木『協会には登録出来ません

理由は、アナタの行動は独断専行が過ぎるのと、経験が足りない事と、仲間との連携が取れていない事、対応にアドリブが効かない所…

そして何よりダメだったのは、依頼内容の軽視と我田引水がでんいんすいですね』


白の男「…」


サラリと長文を言われ黙り込む。


その顔には強張りが在った。


鈴木『…とまぁ、上げたらキリが在りませんが、以上の事が問題ですね

アナタは何故、あのマーラが現れた後から自分で討伐しようとしだしたのですか? 自分を良くからではありませんか?

…ですが上手くいかず、他の者に怒りを撒き散らす…これは愚の骨頂です

アナタは黒い男の先輩と聞きました ですが、彼よりも遙かに経験が少ない様です それが対応出来ない事に繋がったのでは?

それに、アナタは何がしたいのですか? 協会に戻って…以前入っていたのは調べがついています』


白の男「それは、四国に戻っても人助けが出来る様に…」


そこまで話しかけて鈴木が続ける。


鈴木『言ってはアレですが…アナタ大した依頼をこなしていませんね? つまり、依頼主を余り助けられていない

殆どが様な、"低級霊"達ばかりです

そもそもアナタの地元にはアナタ以上の能力を持った"調停者"は沢山居ます

それに、ならばそちらの方々を頼って登録をしても良い筈が、何故わざわざ東京に来て、黒い男のおこぼれで実績を積もうとしたのですか? 四国そちらでやれば良いのに』


淡々と述べ続けるが、


白の男「四国じゃ無いンスよ…! 依頼自体が…!」


そう返したその言葉には、明確な怒りがもっていた。


鈴木『そうですか…

ですが、それは言い訳には成り得ません

黒い男はそれでもやっています 数多あまたの困難を乗り越え、それでも

でも…聞いていれば、アナタは先程から自分に都合の良い言葉を述べ、自信の才能を過大評価し、それを誰かに評価させようとしている …傲慢な話です』


白の男「…」


黙ってはいるが、先程よりも明確な怒りと敵意が感じ取れた。


鈴木『協会はそんな人間を絶対に認めません なので、申し訳ありませんが、アナタを受け入れる事は出来ません』


白の男「そうですか ありがとうございました」


そう述べ一礼する。


鈴木『…最期に』


白の男「ハ?」


呼び止められ、不快そうに答える。


鈴木『アナタは向いていません 止める事をオススメします』


サラリと断絶の言葉を投げ掛けた。


白の男「イヤ、止めないッスねー」


強めの言葉で否定をするが、絶対的な拒否が視得みえた。


鈴木『…そうですか それでは、私はこれで

あ、可及的速かきゅうてきすみやかにその工場から離れて下さい 消防、医療関係にも通達しておいたので、雄一君がそれらの対応をするよう根回しをしておきました』


雄一「了解です 皆先に」


そう言って、四人を車に乗る様たもす。


鈴木『あぁ、それと、後で私に報告を』


と、最期に黒い男を視ながら言う。


黒い男「ぁ…ハイ」


そう答えて、この話は終わった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る