第六話
十三
―4月21日(土)深夜―
―上野駅東 ビジネスホテル街 とあるホテル上階―
黒い男「ちッ…! 逃げんじゃねぇ!」
そう言いながら、ホテルの廊下を走り、眼前を飛ぶ淫魔を追う。
その声に、なんだ?という顔でドアからサラリーマン風の中年男性が顔を出す。
黒い男「出るな!入ってろ!」
そう言いながら、通り抜け様に扉を乱暴に蹴り閉める。
人払いが完全にできてねーじゃねーか…! 東京旅館組合仕事しろ…!
そう心の中でごちる。
その淫魔は正に小物の悪魔といった感じの雰囲気で、大きさは大きめの人形ほど、醜悪な外見をしていた。
通路の端に近くなった所で、
黒い男「動くな!」
と、大声で淫魔を威圧、直ぐ様跳躍しつつ横に回転し、跳び後ろ回し蹴りをその淫魔に食らわす。
ゲオ!という肺が潰された様な音を口から漏らした。
そのまま足で壁にその淫魔を押し付け拘束する。
黒い男「ッあー…! チョコマカしやがって…!」
愚痴りながらも抑え付けている足に力を込める。
淫魔が抵抗も出来ない力で抑え付けられ、後は絶命するのをユックリと待つだけだった。
蠢く事も出来ず、苦しさから痙攣を
…し始めた時だった。
雄一『5分くらい前から
と、急に耳のインカムに雄一からの焦った声が聞こえる。
黒い男「ッ…ちッ…! アイツ…! 焦ってるからって…! 何処だ…!」
一人愚痴りながら雄一に問い
雄一『GPSによれば、鶯谷北のホテルです…!』
黒い男「…それをオレの端末に送れ 今から向かう …お前は此処のホテルの"上"に説明して、終わったと伝えろ」
そう言いつつ、力を込めた足で淫魔を押し潰した。
黒い男「…あのバカ…! 独断専行しやがって…!」
そう言いながら、
黒い男「言って解るか…!?」
苦虫を噛み潰した様な顔でごちりつつ屋上のドアを開ける。
強い風が入り込む中、
黒い男「こっからだと…10分くらいか…?! クソッ…!」
そう言いつつ、ホテルの屋上から跳躍した。
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