第四話
十一
―4月19日(木) 昼―
―新宿御苑側 骨董屋DPP―
その骨董屋はなんでも揃った。
店主は滅多に居らず、雑貨商として古今東西の品を仕入れる為に世界を飛び回っているからという事であった。
…表向きは。
実際には、悪魔や妖魔といった邪を狩る為に、世界中を飛び回っているという、
その為、店には滅多に居ない。
其処に自分が自由に入れるのは、十五年前に師事したからだ。
閻魔のじーさんの昔からの知り合いで、自分の持つ刀、"閻魔"を最初に譲り受けたのが、此処の店主なのだ。
それを更に譲り受けた自分は、三代目に成るわけだが。
相変わらず店主の居ないこの店に、古めかしい鍵を使って、古めかしいドアを開ける。
店に入ると電気も付けず、早速店奥の地下にある書庫に入った。
其処には古今東西の膨大な書物があり、入り口に小型の端末が設置されている。
そのコンソールに触れると端末が起動し、書庫に明かりが点る。
そして、コンソールで今回の件に関するデータを入力し、該当の棚が表記される。
早速その棚に向かい、書物を開く。
それは、日本の妖怪に関する書物だった。
それを読み、推理する。
黒い男「多分…コイツか…だが」
疑問が残った。
一体だけではない。
それを手元から棚に戻し、もう一つ、検索結果に出た棚に向かう。
それは、東欧の棚だった。
その棚から目当ての書物を抜き、コンソール前でその書物の必要箇所を日本語に翻訳させる。
正直言ってGoogle先生ばりに優秀だ。
あのヒトは何時の間にこんな事までをやっているのだろうか…
相変わらず此処のシステムの凄さに、翻訳しながらそう考えてしまう。
そうこうしている間に翻訳が終わった資料を携帯端末に転送し、閲覧する。
黒い男「…おっけ アタリか… でも…」
そう言って首を傾げる。
黒い男「なんでこんなに…? 今回の"大罪"持ちは女好きか…?」
その疑問が湧く。
自分も女は勿論嫌いではない。
だが、行き過ぎはマズイ。
痴情の
それに後味が悪い。
嫌いな案件なのだ。
勿論お互いに良ければそれで良いし、解り合っていれば、別段問題は無い。
お互いの問題なのだ。
特に首を突っ込む事柄でもないし、勝手にやってくれというカンジだ。
だって、大人なのだから。
お互いその行為における相応の対価を払えば、干渉する物事ではない。
とはいえ、仕事なのだ。
それが問題だった。
仕事。
そう、
仕事なのだ。
…そういった系統の仕事は嫌だなあ…
コレが本音だった。
だが、本題に戻ると、一人では分が悪く、かといって人手不足と成れば雄一が
となれば、能力的にも青い男を参加させた方が賢明だ。
黒い男「誘うか…」
そう言いつつ、地下室を後にする。
部屋を出ると同時に感知システムが動作し、部屋の明かりが全て消えた。
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