第四話
五
―2018年4月某日 昼―
―都内某所―
それは、突然の着信から始まった。
skypeの気の抜けた着信音が続く。
PC画面上の"通話"をクリックして応答する。
黒い男「どしたンスか」
白の男「おう わりーな チトそっちに行こうと思ってよ」
黒い男「ほぉ そらまた急にどーして」
それはそうだ。
ウチの
何か変化は無いのだろうか。
中之くんはどうなったのか。
白の男「前から言ってた、お前の伝手であのサイトに登録させて貰おうと思ってよ」
黒い男「あー それですね 前から言ってましたし 良いですよ」
そういう約束だった。
この人はまだ『OrACle』に登録出来ていなかった。
だが、十五年前に出会った時には所属していたのだ。
平たくキレイに言えば、機関から自主的に抜けたというか。
そして、今は都内から離れ、地元でもある四国で研鑽を積んでいるとのこと。
実際の仕事からは距離を置いていた。
だが、
その状況を、自分は何とかしたかった。
それは、この人は無知だった自分に知識をくれたから。
だから感謝している。
その恩返しの一環なのだ。
そう思っている。
―だが、この人を見て、最近思う事も増えている。
少し強引過ぎる部分が目立つ様に成ってきた。
その力強さが本人に"
歳を重ねたのかな?とも思う。
自分より十以上歳が上で四十代中盤でもそうは見せないのが凄いと思う。
本題に戻るが、本人の"
これほどまでの我の強さは自分には出せない。
黒い男「でも、金は? それに二人は? どーするんです?」
そう、その問題が解決していなかった。
白の男「金はギリギリなんとかなるな」
黒い男「じゃ、オレが出しますよ」
白の男「そうか ワリーな ツケといてくれ」
黒い男「了解」
それは解決。
後は、二人の問題。
結局、
流石にその状況は不憫と感じ、アドバイスは幾度か施したが…
大分フラストレーションは溜まっている様だった。
もう一人の中之くんはというと、特にやる気もなく自宅に引き籠もっているという状態らしい。
白の男「まーアイツは世も末な状態だな 実家から出る事も無ぇし 勿体ないけど 磨けば光るのに」
黒い男「んー…一等強いですからねぇ あの人の"センス"は…」
白の男「使えなきゃ意味無ぇだろ」
黒い男「まあ、そうですけどね」
その言葉に相槌を打ちながら話題を切り替える。
黒い男「で、次はいつ来るんです?」
白の男「五月のケツから六月の最初だな」
黒い男「あー解りました じゃ、それで行きましょう 一件丁度良い依頼があるんで」
白の男「おう、頼んだぜ」
そう言って、通話を切ると、PCを閉じた。
閉じた後立ち上がり、大きい溜息を吐いた。
正直、大丈夫か不安だ。
これで、三度目だから。
あの人はやってくれるか…
その心配があった。
これまでの二度は失敗している。
別の駆除機関―
別の仕事―
両方とも意にそぐわないと蹴っているのだ―あの人は。
…一抹の不安が在った。
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