第三話



―2016年 7月中旬 昼―


―新宿御苑側カフェ2階―



こちらの仕事の手伝いという名目で、白の男が来ていた。


二人とも今日は普段着だった。


白の男は煙草をくゆらせながらもこちらに気付き、声を掛ける。


白の男「おう すまんな」


コーヒーを口にしつつ、煙草片手にそう言う。


黒い男「イヤ、いッスけど…」


そう言いつつ、タバコを吸う白の男が吐く煙を手で払いつつ答える。


白の男「頼みがあってな」


黒い男「…何スか? 急に」


珍しい事に少し驚く。


滅多にそんな事を言わないのに。


白の男「青い男アイツを借りてえんだ」


黒い男「は? 借りるって…」


突然の頼みに驚いた。


黒い男「イヤー…別にオレのじゃないし…」


少し不安があったが、それを感じたのか、白の男が言う。


白の男「別にお前の大事な後輩を取ったりしねーよ」


軽く、そう言うが、そんな事が気掛かりではなかった。


大丈夫か?


と思ってしまう。


純粋過ぎるから影響を受け易い…それがマイナスに働かないかが不安だったのだ。


黒い男「あー…そういう…意味じゃ」


白の男「ま、中之あつゆきの為にもな アイツが居たら影響を受けると思ってよ」


黒い男「あぁ…まぁ…それは確かに」


川母利中之かわもりあつゆき。二年前の大蛇事件で根回しをして貰った、元芸能マネージャー。


しかし、意志が弱く甘えた性格なので長続きせず、今はそれを乗り越えるという名目で、白の男に小事こごとを任されている。


所轄、使いっ走りに近い。


だが、それも未だ変化が無い。


まだ、大事おおごとは任せないのである。


そこに青い男後輩という一石を投じようというのが、白の男先輩の案だった。


黒い男「まぁ…オレは別に…後は本人の問題だと思うんで 本人に聞いて下さいよ」


白の男「おう、解ったぜ お前からも言っといてくれ」


黒い男「解りました」


そう言って、青の男にメールを打ち始めた。




…ここまでが、青い男おれ白の男あの人のところに行く切欠キッカケ


…ここからが、青い男おれの本当の苦悩の始まり…

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