第二話



2014年 10月12日(日)午後11時半過ぎ―


―新宿 都庁近く高層ビル下―



其処には既に、白の男が居た。


近くの道路には、青い男のバンが在る。


白の男がそのバンから顔を出す青い男に近寄ると、丁度上空から落ちてきた血の雨が、ビル下に降り注ぎ、一寸したパニックが起きていた。


青い男「うわー…ちょっと大事おおごとに成り過ぎですかね…」


白の男「それは問題ないだろ だが、 それは俺達が下手打ったって言いたいのか?」


青い男「あ、スミマセン そういう意味じゃないんです」


白の男「そうだろうな だがそうだとしても、そう感じるから気を付けろよ」


青い男「そうか… ハイ わかりました」


その白の男の印象は、青い男には、とてもマジメで自分には無いものだったと感じた。


黒い男「よっ …と」


そう言って、黒い男がバンの前に降りてくる。


あの高さから降りたというのに無事だった。


それは、落下しながら足下に"理力"と"氣"で生成した曼荼羅の足場をつくり、跳躍してきたからだった。


白の男「来たか」


そう聞きつつバンに向かう。


黒い男「ええ」


そう軽く答えながらドアを開けた。


青い男「じゃ、行きますから乗って下さい」


そう言って、エンジンに火を入れる。


黒い男「ああ …あーあのビルに電話を…」


ビル側から周囲を工事の名目で人払いしたといえ、この惨状に情報漏洩があるだろうと危惧した言葉を


青の男「入れときましたよ 二人が飛び降りた時点で だからもう清掃が入ってる」


それを読んだ青い男がそう言い、指差す方向には、既にビルの清掃員らしき人達が落下物の血を洗い流し始めていた。


黒い男「…迅速ですこと」


その根回しの良さに、自分の考えは危惧に終わった。


白の男「やるじゃねえか 良くやったな」


青い男「あ、ありがとうございます…!」


純粋な返答だった。


それを横目に二人はバンに乗った。


青い男「明日はアレですよね、マネージャーさんに会うんですよね」


車を走らせ始めながら、そう二人に問う。


黒い男「…マネージャーじゃないけどな」


青い男「え? そうなんですか?!」


白の男「アイツは元々、業界にいたんだが辞めたんだ」


青い男「え?!なんで?!」


黒い男「まーなんっつーか…」


白の男「怠け者だからな」


青い男「…はー…」


余り要領を得ず、そんな反応しか出来なかった。




それが、四年前の出来事である。


青い男が、白の男の元に行く二年前の事だった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る