第五話



―2018年 4月上旬 昼―


―都内某所 青い男自宅―



三年経っていた。


自分の力不足を実感した三年前のあの事件目黒不動から。


三年前に黒い男先輩に言われて、白の男あの人の教えを請う様になって…


始めは、色々教えて貰って、新しい知識や情報が嬉しかった。


神道の知識や仕事に対する向き方、心のよう


それは純粋に成長を感じられた。


だが、時間が経つにつれ、段々とそれは変化した。


それは、自分が変化出来なかったからだ。


白の男あの人は厳しく自分達を扱った。


川母利さんに至っては、社会復帰の一部という名目で、仕事探しの雑務をさせられている。


白の男あの人は『OrACleサイト』に登録していない。


だから依頼を探すのも一苦労だった。


しかも、探す本人中之、犬猫の低級動物霊退治とかが関の山だった。


それを見付けて


一人で教えられた事をやる。


チームプレイをする為だと言って、白の男あの人は指示を出す。


それを三年繰り返していた。


最近は川母利さんのやる気低下ミスが多く、毎回の如く怒号が飛んだ。


だが、それを見て 不憫だな…と思う部分は在るものの、それ以外をやらずに自堕落にしている様を知っている為か、自業自得、もっと言えば、物事を先延ばしにしてやらない事に、苛立ちを覚える程だった。


―この人は、本当に堕落している…


よく大罪に憑かれないな…


それが日頃から思う事と自分からの評価だった。


その事を以前相談した時に言われた。


白の男『大丈夫だろ オレの意見聞いてるし、祝詞のりとをさせてるし 何よりオレの存在感が強いからな― そもそもそれでやらないでいたらアイツ自身の問題だろ』


そう当たり前の様に断言する。


―確かにそれはそうだ


だが、言われた事だけに従事して、これで未来があるのだろうか?


そんな疑問も湧いている。


―そんな面倒を見てくれる相手を疑うなんて言う事は良くない事だ。


そうも思う。


それは解っている。


でも、これだけでは変化が無い。


どうしたら良いのか…


完全に袋小路に入っていた。


そう思いつつ、今日も言われた日課の「はらい祝詞のりと」を唱える。


青い男「高天たかまはら神留かむづまります 神魯岐かむろぎ神魯美かむろみ命以みこともちて…」


発する意味も解らないまま―その「禊祓詞みそぎはらえのことば」を唱え続けた。




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