―賢シラ振リテ邪ト変ジルモノ―
序話 -永キノ終ハリ-
一
―2018年 6月2日 (土) 午前1時10分―
―東京駅前 kitte
ライトアップされた絶景の夜景を横目に、黒い男は対峙していた。
時期に似合わない熱さと風に吹かれながら―
黒い男「―…アナタが発端だった…」
その言葉には、明らかな批難が込められていた―
??「…」
対峙した相手は、微動だにせずに、黙って聞いていた。
黒い男「アナタが居たから、この状況を生み出していた…
二人とも…アナタのせいだった…」
そう断言されても、未だ対峙する相手は黙ったままだった。
黒い男「…何故、こんな事になったんです?」
そう言われ、対峙した相手は、少し表情を歪ませた様だった。
黒い男「アナタは…こんな風に成る様な人じゃなかった…少なくとも、オレの知るアナタなら…」
??「…ワケねぇだろ…」
その言葉は、余りに小さく、語尾しか聴き取れなかった。
だが、続けた。
黒い男「アナタの辛さを…! 弱さをオレ達に伝えてくれれば…!」
??「出来るワケねぇだろ!」
それは、余りに幼稚な返答だった。
それに売り言葉に買い言葉で返してしまう。
黒い男「…オレに言ったじゃないですか…オレの弱さを見せろって…なのにアナは…! それじゃ助けられない!」
それは心から思った言葉だった。
だが―
??「助けるってなんだ?! 誰がそう頼んだよ!」
その返しは、自分の中で、対峙するその相手を軽蔑させるに十分な言葉だった。
―ああ…そう言う人間なんだな―
と。
だが、止まらずに続けて言う。
??「頼んでねーよ!」
その否定の一言は、自分の中で決定的だった。
それが、言葉と成って漏れる―
黒い男「…傲慢な人だ…」
対峙する相手への、決定的な否定だった。
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