―最終話―

―4月 約束の時間近く―


―新宿御苑側のカフェ近く―


今、自分はあの二人を手伝っている。

勿論、自分は力なんて無いから、サポート全般、それも依頼関連がほとんどだ。

怪異解決の依頼サイト「OrACle神託 -Order And Cleric聖職者に命じよ-」を覗いて、依頼主に連絡をする。

そしてアポイントを取って、実際に会い、内容を聞き、二人に伝えて、問題が無さそうなら(実際には有れば)、依頼主に二人(もしくはどちらか)を会わせる。

そこまでが自分の役割。

聞いた所によると、印象がフツーだから怪しまれないらしい。

それもどうかと思うが…

でも、それが合うというならやってみよう。

それが、自分の出した今の答え。

今出来る事をやってみて、ダメだったらその時はその時。

もし、これがダメになっても、自分の人生は続く。

これからも挑戦していこう。

甘えず

妥協せず

選んでいこう

店に着き、ドアを開けると



―約束の時間―


―新宿御苑側のカフェ―


来店を知らせるベルがカラカラと鳴る。


黒い男「お、来たか」


青い男「一番最後だな」


二人はもう来ていて、自分を見てそう告げた。


雄一「あ…ゴメンナサイ…」


条件反射で謝ってしまう。


黒い男「イヤ、いい それに時間だしな」


雄一「あ、そうですか…ありがとうございます」


青い男「マジメだねーユウイチ君は」


そう言われ、少し下を向いてしまう。

だがそんな事は気にせず続ける。


黒い男「で、依頼人は?」


そう言われ、意識を本題に戻す。


雄一「あ! 二階です」


二人に先立って階段を上る。

階段は窓が付いており、日光が入る作りで、今の時間帯は陽射しで明るく、照明が要らないほどだった。

正に光の道だ。

階段をゆっくりと上り、正面窓際の席に依頼者が座っていた。

階段を上りきった自分に気付き、後ろに二人が見えてきた所で、

立って軽く会釈してくる。

依頼主の席に近付き、


雄一「お待たせしました…! こちらの二人です」


いつもここが一番緊張する。だが、そんな事を気にせず黒い男が席に座り、出会い頭に訪ねる。


黒い男「で? どんな依頼?」


大胆だが、直結な疑問。

自分がその行動に驚きながらも、それに関係無く、新しい人助けが始まる。

新しい挑戦の毎日が。



―目黒夜歩き紀行―



―完―





















彼等の物語は続く








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