―第六話―
二十三
―午前0時8分―
―裏 目黒不動尊 崩壊―
が、足下の崩壊が…というより、この目黒不動は、もう限界だった。
青い男「おっ…わっ!」
青い男が離れた瞬間、その足下は崩落し、その果てしない奈落に落ちた。
…と思いきや、落ちることなく、宙に浮いていた。
雄一「大丈夫?」
其処には、雄一もいた。
雄一「なんか、コレが護ってくれてるんだ」
そう
その光は自分達をすっぽり覆っており、宙に浮いていた。
青い男「コレは…」
雄一「よく…解らないんだ」
そういう雄一を尻目に、よくよく視ると、その光球は
下の方を視ると、崩落は、もう魔人化した黒い男の足下まで来ていた。
足下が崩れ落ちると、炎状になったコートが羽の様に拡がり、宙に浮く。
もう、そこには何も無かった。
目黒不動と呼ばれていたモノは。
そこには、深遠の闇が広がっていた。
雄一「!… アレ…何…?!」
小声でそう呟いたのは恐怖からだった。
青い男「デッケー…」
こっちは、驚きはあったが小さかった。
それは、とてもとても巨大だった。
山の様に大きな
尻尾は長大であり、背中からは木やら山やらが生えている。
山としか形容出来ないほどの、余りの巨大さ。
そして、その腕の先、指から先は見た事のある形をしていた。
雄一「あの腕…! あれの指…! 俺達を襲った…触手…!」
それは、居る筈の無い祖母や、あの女の形をしていた。
雄一「あれだったのか…」
背筋に薄ら寒いものが走る感じがした。
あれが自分の身内のフリをしていたなんて―
雄一「あんなこと…」
青い男「ああ…起きるんだよ…」
雄一「! しかも…あの背中…!」
更に気付く。
背中の木やらが生えている部分に、似つかわしくない瓦や、石畳の破片などが付いていた。
雄一「俺達…アイツの背中に乗ってたの…?!」
余りに巨大な存在に恐怖感と絶望感を感じる。
こんなのに勝てっこない…
どうやって倒すんだ?
こんなの…?!
心の中で
青い男「…ま」
雄一「え?」
その緊張感の無い声に反応してしまう。
青い男「何とかなるだろ」
サラッと答える。
そこには信頼の音が在った。
雄一「…は?」
あっけらかんとした言葉に聞き取れてしまった。
雄一「な…何を言って…? だってあんな大きな相手に…!」
余りのアッサリした返答に声を荒げる。
常識では無理だ…!
その思いが声を強く出させた。
だが…
青い男「それでも何とかする人だ 信じろ それしか無いんだし」
その言葉にも信頼が在った。
雄一「…え?」
そこまでの信頼はどうやったら出るのか…
逆にそこまで信頼するにはどうすれば良いのか…
この時ばかりは、そこまでの信頼を心配してしまった。
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