―第七話―
十六
青い男「選べ!雄一!」
雄一「無駄よ…! 私は俺!俺は選んだ!選ばないという事を!
選ぶ事は、俺にとって苦痛!
責任を負う事は重荷!
だから本気を出さぬ!
その臆病な心が、私を現世に留めさせる!」
その奇妙な主張は、
青い男「うわー…クソダセェ事サラッと言ってんのにアイツに触れられねぇー」
手を振るいながらそう軽口を言いつつも、目前の強大な邪気に、どう対処するか考える。現在進行形で劣勢であるという事実を理解しながらも。
二つの主語が含まれた奇妙な弁舌。何故か、その頬には涙が伝っていた。
なのにこんなに辛いなら!選ばない方が楽だ! だが!
それが私の
黒い男「それは違うな」
そんな状況に動じず、冷静に銃を弄りながら鋭い言葉を投げた。
黒い男「選ばなければならない これは、もう既にお前だけの問題じゃない」
黒い男「ベルフェゴール お前、ソイツの彼女に干渉したな?」
雄一「…え?」
それは雄一本人の言葉だった。
黒い男「モアブの娘たちでイスラエルの民を誘惑した様に」
青い男「イスラエルの民…?」
サッパリ解らず、その疑問が口に出てしまう。
黒い男「ベルフェゴールは、女性の心に性的で不道徳な心を芽生えさせる力を持つ」
青い男「それじゃあ…」
雄一「俺の夢に出てきたアイツは…!」
黒い男「ベルフェゴール、お前がやったんだな」
焦る表情の雄一を
黒い男「…まさかそいつのばーさんも…?」
その言葉で何か引っ掛かったのか気付いた様に疑問を口にする。
青い男「え…? どういう…?」
苦悶の雄一を見ながら理解出来なくなったのか、そう疑問を投げる。
黒い男「…ベルフェゴールは、人間界の結婚生活などを覗き見る悪魔とされ、その為、女性に対して非常に不信感を持っていたらしい」
青い男「へぇ…」
少し可哀想だな。という表情で雄一に視線を向ける。
今の、この苦悶の表情を視れば、同情もしたくなる。
黒い男「結果、幸福な結婚など無いという結論を出したとされるヤツは、女性の心に性的不道徳な心を芽生えさせる力を持っていたとされてる」
青い男「だからか…とはいえ…」
少し不憫だな と思ってしまった。
こんな訳の分からない状況に巻き込まれ、人生を変える様な選択を迫られたら、そりゃあ混乱する。
黒い男「そしてこれが…」
弄っていた銃を雄一に向ける。
黒い男「最後のチャンスだ」
そう言って、弾丸を撃ち込んだ。
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