―第六話―

十五 



―選ぶ

それは自分にとってとても困難な事だった。

だって、決めてしまえば、やらなければならないから。

責任を負わねばならないから。

だから、本気を出せなかった。

だから、本気を出さなかった。

何もなかった。

何も得られなかった。

でも、彼女の時は違った。

本気だった。

本気で愛情を注いだ。

でも、彼女は満足しなかった。

奔放だった。

何時いつも聞いてくれない。

自分の話を。

結局、彼女は出て行った。

自分は間違っていたのか?

あんなにしたのに―

ワガママも受け入れ、金も出した。

それでも―

彼女は別の男のところに行った。

俺は彼女を選んだのに―

何故なぜなんだ。

選ぶってなんなんだ。

選んだのに

辛い

そう―

俺は選んだんだ

俺は頑張ったんだ

やったんだ

それでこんなに辛いんだ

だったら―

選ばない方が

楽だ―

誰にも迷惑はかけていない

これで良いんだ―


??「それは違うな」


突然声を掛けられた。

なんだ?

意味が解らない。


黒い男「選ばなければならない これは、もう既にお前だけの問題じゃない」


雄一「え…?」


思わず声が漏れた。

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