第3話

ピザ屋の中に入ると、従業員達がせっせと働いていた。開店の準備をしているらしい。私はその様子を見ていて、私もこのレストランの従業員だったことを突然思い出した。急いで他の従業員達に混じって準備の手伝いを始めたが、私の記憶は酷く曖昧で、店やこの町のことについてほとんど忘れてしまっていた。

開店準備をしている中で、私は店内のフロアで、私の大の親友が駆けずり回っている。を見つけた。彼女もまたこの店の従業員だったのだ。私達は2人で作業することになった。雑用を押し付けられたりもしたが、楽しかった。


開店の準備が終わり、後は客を待つのみとなった。


この町は定刻になると門が開き、その門の解放と同時に、町のレストランは開店するのだ。確かに、さっき町だったふらついていた時、外の道には誰一人としていなかった。



開店前の店内の何やら落ち着かない様子を見て、私はまたあることに気がついた。

ここの従業員達は皆学生なのである。そろいのエプロンを身につけているので分かりにくいが、同年代の学生だと分かる。

偽物の町といい、学生だらけのレストランといい、どうやらこれは、どこかの文化祭のようだ。そうと分かると私も浮き足立つ。なんだかふわふわした気分になってくる。


しかし不思議なことに、これは文化祭にもかかわらず、私達は親友以外の従業員に全く見覚えがなかった。それに文化祭ならばここはどこかの学校なんだろうが、自分の学校とは思えなかった。文化祭にしては偽物の町も妙に精巧に作られている。ハリボテとはいえ、しっかり中に入れるように出来ているのである。



あれこれ考えている間に、門が開かれる時刻となった。


そして門が解放された。

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