第5話  お弁当

「冥くん、駅弁食べる?」

「通勤車の中で食べても、美味しくない」

「いいから、食べてみて。お腹すいているでしょ?」

「じぁあ、遠慮なく」


ゆかりさんから、お弁当を手渡される。

「いたばしくう」

「いただきます。無理に、うけねらわなくていいから・・・」


「あれ?この駅弁・・・」

あきらかに、容器が違う。

どう見ても、手作り弁当。


ゆかりさんは、ニコニコしている。


(そういうことか・・・)


僕は、気付かないふりをして、美味しくいただいた。

「ごちそうさま。美味しかったよ」

「おそまつさま」

「また、ごちそうしてください」

「よろこんで」

ゆかりさんも、気付いてくれたようだ。


電車は走る。

でも、外の風景は変わってきている。

違和感の正体が、なんとはなしに、理解できた。


仏教の世界では、49日間7日毎法要をすれば、極楽浄土に行けると言う。

そこで、永遠に暮らせると言うが・・・

あくまで、一夜漬けのうんちくなので、専門家ほどは知らないが、おおむねは会っているだろう。


あおいの場合は、違うようだ。


もしかして、六道輪廻か?


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