第十一話



 リリアがアカネとミソラを率いて救助活動を始めた頃。

 

 ゼクトは自らが吹き飛ばした火竜と対峙していた。

 正確には火竜が一方的に威嚇しているだけで、ゼクトはどうやって殺すべきかを悩んでいるだけなのだが。

 考えているだけで仕掛けないゼクトに業を煮やした火竜が渾身のブレスをゼクトに向けて吐き出す。

 普段使う広範囲を燃やすためのブレスではなく、一点に収束させたブレス。

 見た目は完全にレーザーとなっているそれは、城壁など容易に突破しそのまま薙ぎ払えば町をまるごと両断できる程の威力だった。

 

 火竜にとっては最強の一撃。

 今までこの技を耐えたものなどいないという自信と、自分を投げ飛ばした人間に対する恐怖が初手からこの技を選択させた。

 

 人間を殺して喰らった後はあの町を火の海にしてやると考えた火竜は、口腔から獄炎のレーザーを吐き出し……信じられない光景を目にした。

 

 ゼクトは一枚の符を取り出し、向かってきた炎に投げつける。

 符と炎が接触した瞬間符に書かれた文字が発光し、火竜のブレスを完全に消し去った。

 

 「どんなもんかと思ったけど、何でもない所詮は火竜か。 封炎符で無効化出来るってことは威力もそれほどじゃないし、期待外れも良いところだな」

 

 ゼクトのつまらない物を見るような目と言葉で我に返った火竜は必殺の一撃を破られたことに対する恐怖によりパニックに陥った。

 その巨体で爪牙を用いゼクトを殺そうと動く。

 信じられない存在をどうにか排除したいという本能からの拒否。

 

 「んー。 さっさと殺そうかと思ったが、どうやって殺すか。 折角だし何かの材料になるかな? あ、殺す前にこれは使っとかないとな」

 

 振るわれる爪や尾による攻撃をあっさりと回避し、あまつさえそんな事を口走る。避ける最中にゼクトはとあるアイテムを使用した。

 

 『ニンゲンフゼイガ! ジャマヲスルナァ!』

 

 例え自分よりも強大な相手だとしても竜種であるプライドが火竜を奮い立たせる。

 翼を広げ大きく羽ばたき、風圧を叩き付ける。そこらの人間や魔物ならこれだけでも足を止める。

 

 が、ゼクトは特によろめく事もなく涼しげな顔で立っている。

 

 「よし、決めた。 お前は斬首刑だな」

 

 ゼクトはにこやかに嗤い、柄に手を添える。

 ゼクトが武器に手をかけたことに気付いた火竜は攻撃が来ると理解し、即座に飛び上がろうと翼を動かす。

 

 パチッという空気がはぜる音が鳴る。

 

 巨体が浮き上がった瞬間、火竜は違和感に気付く。

 ズルリと首の辺りで奇妙な感触を覚えた。

 体が浮き上がったのは分かった。

 しかし視界がどんどん傾いており、自由に首が動かない。

 

 『ナンッ……!?』

 

 勝手に動く視界が、自分の体をその範囲に納め理解した。

 自分の首が切断されたのだ。

 しかも斬られたと知覚出来ないほどの速度で。

 火竜は首だけとなり、少しずつ意識が遠のくなか自分を殺した相手を見る。

 

 ゼクトは紫雷を纏う刀を手に火竜の首を見下ろす。

 その顔は嗤っていた。

 

 「いいタイミングで襲撃してくれて助かったよ。 せめてもの礼に痛みなく死ね」

 

 ゼクトは更に柄に手をおき、また空気が弾けるような音がなった次の瞬間。

 火竜の頭部が同時に数百の斬撃に曝されたように無惨に切り刻まれた。

 

 切断された首元側も盛大に血飛沫を上げ、崩れ落ちる。

 周囲に血が飛び散り鉄臭い血の臭いが辺りを満たす。

 

 「……どうせならもう少し楽しめる相手だと良かったんだけどな」

 

 暇潰しにはなったと言いながらゼクトは主の元へと戻る。

 

 

 

 

 

 ゼクトはその存在に気付いていたが構う気もなかったので放置していたが、火竜を斬殺したゼクトを見ていた人物が二人いた。

 

 一人はギルドマスター。

 

 「ばか……な……。 いくらレベルが高いとはいえ火竜をああも簡単に屠るだと」

 

 ゼクトが渡した武器の恩恵によって火竜に追い付くほどの速度で走り続けたギルドマスターが見たのは火竜に対峙するゼクトの姿だった。

 町から火の手は上がっていたが、思っていたほど広範囲ではない事に安堵しゼクトを援護するために動こうとしたが……動けなかった。

 

 声は聞こえなかったが、ゼクトが嗤い柄に手をかけた瞬間自分が殺されるような感覚に陥った。

 走り続けたことで熱していた背中の筋肉全てが一瞬にして冷やされたような怖気を感じ、今まで感じたことのない不安と恐怖が胸中を満たす。

 

 そして次の瞬間、火竜の首が落ちた。

 

 まるでコマ落としのように。


 「……なん……という。 あれがゼクト殿の至った強さなのか……」

 

 火竜が抗う事すら許されない強さ。

 気付けば我知らず身をかき抱くように身体の震えを押さえていた。

 

 (彼はリリア嬢の使い魔だ。 つまり彼女にすべての決定権があるのなら、彼女はただの学生や冒険者という括りには入れられない。 だが、他国や他の冒険者支部に彼女を渡すのは色々な意味でも厄介だ。 どうにかこの町に引き留める方法を模索しなくては) 

 

 ゼクトの強さを実際に目にしたギルドマスターは今後の方向性を定めるために考えを巡らせた。

 自分の中に芽生えた恐怖から目を逸らすために。

 

 

 

 

 

 

 「あはははははは! 強いとは思ってたけどこんなに凄いなんて! あぁなんて美しいのかしら!」

 

 新人戦の二回戦が始まろうとしていた時。

 セインは自室で休んでいた。

 ゼクトの雄姿を見て、あれほどまでに動揺してしまっては身が持たない。

 一応体面は気にしているセインとしてはこれ以上の痴態を見られるわけにもいかないため一日引きこもっていることにしていた。

 

 一眠りし、すでに日も暮れていることに気づきそろそろ食事でもと考えていたセインは突然の轟音に飛び起き、窓を開ける。

 そこには町の一角を襲撃している火竜の姿があった。

 

 自分が動くべきかと思ったセインは学園の寮から町を見た。

 遠目にも確認できるその巨体が町の一角を破壊しはじめた。

 この町で火竜に対抗できる戦力はほぼいない。

 セインは正体を隠してはいるが、本気ならゼクトやそのペットたる朱音や美空を除けば間違いなくこの町で最強の部類になる。

 火竜ならある程度相手に出来るが、必ず勝てる保証はなかった。しかしいまここで好き勝手に暴れられてゼクトと会う時間がなくなるのは迷惑だと判断したセインは一本の槍を持ち寮を抜け出す。

 

 「ゼクト……さん?」

 

 寮を出た時、セインの目に信じられない光景が飛び込んできた。

 ゼクトが火竜を振り回し町の外壁の外へと放り投げたのだ。

 

 「あぁぁぁ……なんて強いのかしら」

 

 油断したら蕩けてしまいそうな頬を寮で押さえ、ゼクトを見つめるセイン。

 放り投げた火竜を追っていったゼクトを少しでも見るためにセインもまた疾駆する。

 常人では目にすることすら困難な程の速度で走る彼女の顔はゼクトに対する色々な欲求でわりと酷い顔になっており、人々に見えなかったのは幸いとも言える。

 

 辿り着いたとき、火竜が収束された熱線を放とうとしていた。

 

 (あれは流石にマズイです! 助け……な……くて良さそうですね)

 

 紙切れ一枚で火竜のブレスを消したゼクトの強さにもはや言葉もないセイン。

 その後も繰り出される爪牙による攻撃をまるで児戯とでもばかりにあっさりと回避するゼクトの動きにうっとりとしていた。

 

 そして次の瞬間何事かを呟いたあと、火竜の首が落ちた。

 

 何をしたのか自分の目をもってしても見えなかったことに愕然とするセイン。

 

 (柄に手をかけていたということはあの武器で斬ったと思うのだけど……全然見えない! もっと近くでないと声も聞こえないわ!)

 

 自重を忘れたセインは影から影へと転移する魔法でかなり近くの物陰へと移動し、更に様子を見守る。

 

 「……せめてもの礼に痛みなく死ね」

 

 嗤いながら火竜の頭を切り刻んだゼクトの笑顔。

 そこに秘められたゼクトの優しさすら感じる殺意に触れ……彼女は完全にゼクトの虜になってしまっていた。

 

 「はぁ……はぁ……ゼクトさん! ゼクトさんゼクトさん! ゼクトさんゼクトさんゼクトさんゼクトさんゼクトさんゼクトさん!!!」」

 

 妖しい熱を持った瞳でゼクトを見つめ、ゼクトの名前を呼び続けながらその後ろ姿を見るだけで彼女は絶頂を迎えた。

 

 その後しばらく余韻に浸った彼女は近くにまで飛散していた火竜の血を指で掬い、それを口に含みながら恍惚とした表情を浮かべる。

 

 「あはぁ……絶対に私のものにしますよ。 ゼ・ク・ト・さ・ん。 うふふふ。 うふふふフフ。 アハハハハハハハハハ!!!」

 

 夜の帳がおり、真っ暗な闇が支配するなかでセインは長い時間自分の中の暴れだしてしまいそうな感情を押さえることなく笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 疲れた。

 いやもう冗談抜きで疲れた。

 火竜ぶっ飛ばしたり瓦礫片付けは別にいいんだよ。 そのあと住民のために炊き出しなんかも楽しかったしそれもいい。

 ただ完徹三日目になると流石にきつい。

 目の下に隈を作りながら野菜を刻んで鍋にぶちこみ、コンソメスープを無心で作っていく。

 

 「ご主人様! 瓦礫の撤去はほとんど終わりましたわ!」

 

 「こっちもちりょうはだいたいおわったよー」

 

 「おぅ、お疲れ。 スープ食べていくか?」

 

 「「いただきます」」

 

 二人も流石に疲れたのか座って一息ついてゆっくりとスープを啜る。

 なにやら息切れしているところを見ると相当動き回ったのか?

 

 「ハァハァ……ご主人様の手作りご主人様の手作り!」

 「ハァハァ……とりあえずゆっくりじっくりたべないと」

 

 「…………」

 

 まだまだ元気だな。

 こいつらしばらく放置しておいても大丈夫かもしれない。

 

 「おかわりー」

 

 「食べるのはえーよ! ゆっくり食べるって言ってたよな!?」


 「きづいたらなくなってた。 みすてりー」

 

 「思いっきりおかわりとか言ってなかったか? 唇も油分でテカってるぞ」

 

 「これはしっぱい。 なめとっていいよマスター」

 

 「やらん」

 

 スープをよそってついでにハンカチも渡しておこう。

 

 「ますたーのはんかちいただきぃ! クンクン……ますたーのいいにおい」

 

 こいつ……スープと一緒にハンカチ持っていきやがった。

 ていうか匂わないでほしい。

 

 「ずるいですわ! ご主人様のハンカチだなんて!? ご主人様私も欲しい!」

 

 「ハンカチはもうない。 朱音は上品に食べるからそんな汚れてないだろ」

 

 「じ、じゃあご主人様の衣服とか、し、下着でも良いですわ!」

 

 お巡りさーん、変態がいますよー。

 たすけてー。

 二人もいますよー。

 

 「……お前達は楽しそうだな」

 

 三人で下らないことで騒いでいるとマッチョさん……じゃなくてギルドマスターが近づいてきた。

 火竜退治してた時に途中から近付いてきたのがギルドマスターとセインだったけど、なにやらぎこちないな。

 

 「愉快な部下ですからね」

 

 「そうか。 ……少し話したい事がある。 夜にギルドの方に顔を出してくれ」

 

 「主の許可が得られれば伺います」

 

 「頼む」

 

 口数少なく歩いていくギルドマスター。

 あっちもかなり疲れてるな。

 ギルドとしてもやることが増えて大変なんだろう。

 火竜の死体処理なんかも任せてるけどあのサイズだと解体なんかも苦労しそうだ。

 

 「ゼクトさん!」

 

 「ん? あぁリリア様、どうされました?」

 

 何かあったのか走ってくるリリアの姿を発見。

 人前なので仕事モードオンにしとかないとな。

 

 「使いの人が来て、私と一緒に一旦戻って学園の会議室に来て欲しいとの事です」


 「なるほど。 でしたらリリア様は一旦寮に戻られてお着替えになられたほうが良いかもしれませんね。 少し御召し物が汚れてしまっています」

 

 「あ、そ、そうですね。 気付きませんでした」

 

 「中々の被害でしたからね。 見知らぬ誰かを助けるため自らの事を省みず支援が出来る人が主で本当に良かった」


 回復や支援魔法で救助の手助けを行っていた働きは本当に偉いと思う。

 というか学園の生徒の多くが救助や支援のために頑張っている姿は本当に印象的だ。

 服や顔が汚れても気にせずに頑張っているリリアもすごいと思う。

 思わず頭を撫でてしまう。

 

 「えへへへ。 私もゼクトさんが使い魔で助かりました! 美味しいご飯を皆の為に作ったりしてくれてますし。それになにより火竜を倒したのもゼクトさんですしね!」 

 

 実にいい笑顔だ。

 火竜を倒すときに実験でとあるアイテムを使ったんだけど、これならバレても許してくれるだろう。

 

 

 

 

 

 リリアと共に会議室に向かうと、王と学園長が待っていた。

 もう四日程城を開けてるけどこいつ仕事大丈夫なのだろうか。

 他人ではあるがちょっと心配になる。

 王子は火竜が来た翌日には逃げ……帰っていった。

 王女は意外にも残って王の補佐をしてる。偉いですなぁ。

 

 「……まさか本当にあの短時間で倒してしまうとはな」

 

 「町の復興にも協力しているようだな。 お前達が力を貸してくれているお蔭でかなり助かっているそうだ」

 

 開口一番に驚きの声が王から出てくるとは。

 学園長も町のほうに気を向けてくれているのか町の支援にも力を入れてくれている。

 俺の監視に密偵みたいなのを使ってるみたいだけど、それさえなければいい人と思えたのに残念ですな。

 

 「手早く倒せたのも、救助や支援がスムーズな事もすべてリリア様の御力があればこそです」

 

 「確かに。 リリア嬢が民の傷を癒し、支援魔法などで補助をしてくれたお蔭で助かった者も多い」

 

 「い、いえそんな!? 私は必死で着いていくのもやっとの状態で!」

 

 王に褒められたのがおそれ多いとでも言うように慌てるリリア。

 もともとの世界では王族なんていなかったからいまいちそのすごさが理解出来んな。

 

 「ところでリリア嬢。 聞いておきたい事があるのだが、町のほうでリリア嬢の使い魔を名乗る女が二人いたそうだが、あれはどういうことなのだ? ゼクト殿と契約している以上ほかに使い魔などいるはずがない。 故にリリア嬢に取り入って何かを企てようとしているのかとも思ったが、その者達の働きも素晴らしいためどうしたものかと悩んでおるのだ」

 

 「そ、それは……。 実は私三人の使い魔と契約……出来まして」

 

 「なんだと!? そんな筈はない! そんな事をすれば魂が契約の負荷に耐えられる筈がない!」

 

 リリアの説明にいまにも飛び掛からんばかりに学園長が食い付いた。

 まぁこういう風にしようって言ったのは俺なんだけどね。

 ただ強い使い魔を持ってるやつっていう肩書きはインパクトが弱いけど、使い魔を三人も持ってるとなると物凄いインパクトになるだろう。

 

 「えっと見て貰った方が良いですよね。 アカネさん、ミソラさんお願い!」

 

 宝石からアカネとミソラが姿を現し、リリアの背後に控える。

 宝石から出てきたことが何よりの証拠になるだろう。

 どうせ前例もないだろうし、わかる奴はいないはず。

 

 「こんな……ことが……!?」

 

 学園長がフリーズしたのでしばらく放置しよう。

 さて一応王様の方ともしっかり話しておかないとな。約束もあることだし。

 

 「さて、王様。 約束の報酬の件なのですが」

 

 「うむ。 分かっておる。 ここでやることは終わったので明日にも王都に戻り手続きをしておく。 だが、その前にリリア嬢。 誰を当主とするか考えておいてくれ」

 

 「……はい」

 

 なにやら意味深な感じだな。

 実家の事でなにかありそうってのは俺も感じてるが、どうやら王も知ってるって事はあれか。ちょっと面倒系のトラブルがあるんだな。

 

 「余としてはそなたがヴィスコール家の当主となるのが良いとは思っておるがな」

 

 「…………」


 「……折角だ。 一度実家に使い魔を連れて帰ってみてはどうだ?」

 

 「……はい」

 

 「うむ。 では下がってよいぞ。 ゼクト殿、貴殿だけは少し話がある」

 

 俺も帰ろうと思ったら呼び止められてしまった。

 三人が出ていくと我に帰った学園長が、王の前でありながら礼など気にもせず走っていった。

 あの人絶対研究馬鹿みたいなタイプだな。興味のあることになると周りが見えなくなる奴だ。きっと三重契約を結んだリリアが良い獲物に見えてしまったのかもしれない。

 俺は関わらないようにしよう。

 

 「他にもなにか御用が?」

 

 「……正直に言うとだ。 リリア嬢が凄いのではなくゼクト殿が飛び抜けて優れているというのは分かりきっている事だ。 あの娘が今後矢面に立たされる時、その重圧にリリア嬢は耐えることが出来るのだろうか、と心配しておるのだよ」

 

 「……御懸念は理解出来ます」

 

 「その力を知り、そして他国に貴殿の力を知られた以上なんとしてもリリア嬢は渡さぬようにせねばならぬ。 ……どうかこの国に弓引くことのないよう願いたい」

 

 なるほど。

 人の上に立つ以上利益だけじゃなくそのリスクも考えないといけない。

 いま王の頭の中では俺、というよりリリアを他国に奪われたときやリリアが反逆した時など様々な事がシミュレーションされているのだろう。

 実際俺が国王の立場だったとして俺と同じようなのが攻め込んできたら戦うという選択肢は除外するしかない。

 服従か隷属のどちらかだろう。

 

 「前にも言いましたが、リリア様の敵が私の敵です」

 

 「そうであったな。 ……あぁそうだ忘れていた。 明日町の広場で祝勝会と亡くなった者達への慰安を兼ねたパーティーを開くそうだ。 是非英雄には参加して頂きたい」


 「リリア様に御伝えしておきます」

 

 頭を下げて会議室を出る。

 祝勝と慰安……か。

 

 「誰かを亡くした者の痛みは亡くした者しか分からない。 それでも人は前に進むしかない……か」

 

 慰安という言葉で少し昔を思い出してしまった。

 亡くなった人の家族や友人が前に進めるといいな。

 

 「よし、あとはギルドに顔出すくらいか。 頑張るとしよう」

 

 改めて気合いを入れ直し、学園長に捕まり騒がしい我が主とペット達の元へ歩く事にした。

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