万屋奇譚番外〜丸奈奪還作戦編〜

弌ツ目〜黒蝶ノ記憶〜

‪ひらりひらりと蝶が舞う‬

‪ゆらりひらりと舞い踊る‬

‪ひらひらひらり、花へと止まる‬


‪向かう先は暗闇に‬

‪消え逝く魂、先導し‬

‪ゆらゆらゆらり、舞進む‬


‪花へ骸へ移ろい止まり‬

‪ひらりゆらりと羽ばたいて‬

‪行き先告げず、旅に出る‬


‪ふわりひらりと増えていき‬

‪夕焼に浮かぶは黒の蝶

雲のように月隠し、舞えよ踊れと通り過ぎ

亡者や死者を引き連れて

彼の世へ誘う百鬼夜行



はらりはらりと舞い落ちた

花弁の下には死者眠り

手向けとばかりに紅い花弁

ふわりと被さり風に揺れ


ひらひらひらり今日も飛ぶ

死者を導き案内し

泉の上に波紋を作り

その下扉が開きます


あなたの逝き先天か地か

そればかりは、分からない...


生者は逝けぬこの先へ

今日も案内致します


そうして暮らして幾星霜

気付けば此処は肩の上

ひらりひらりと舞う理由

既に生者の為也と

今日も情報運びます


こうして生きた自分の記憶

いついつまでも覚えてる

嗚呼この先もいつまでも

生者と関わる今がいい




「...あげは。どうした?」


いつの間にやら眠ってた

名前を呼ばれて気がついた


{...いや、なんでもない}

「そう?なら、良いけど」


童が選んだ契約者

この血に惹かれ傍に居る

この者の為ならば

何処へでも飛んで行こう

何処まででも、飛んで行こう


{ふふ...}

「?なんだよ、急に」

{いや、なんでもないよ...}

「...今日なんかおかしいぞ、鳳」

{失礼なっ!何でもないと言っておろうが!}

「痛いって...羽で頬を叩くの、やめろ...」

{ふん。人が折角良い気分だったのだ、おかしいなどと言わないでもらいたいのぅ}

「分かったよ...もう...」


この者の為ならば

この者が決めたのならば

従おう、付いて行こう



















......例え、それが地獄だったとしても......


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