蝶よ花よ< 終 >

プリマは視線の高さを合わせるように屈み込み、にっこりと微笑んだ。


「漸く目が合いましたね。」


キショウは口をぽかんと開いて目を丸くした後、所在なさげに視線を泳がせ、そして俯いた。


「……ごめん」


すっかりしょげているキショウを見て、そういえば一つ二つ年下だったなぁと思い出し、やさしい気持ちになったプリマは小首を傾げる。


「さっき数度殴りましたし、酷いことを言いましたので。お互い様ですわ」


どこか年上ぶったような返答に、キショウはちらっと視線を投げかけ、やがて顔をまた上げた。


「そっか。」

「そうですよ」

「……ありがとう」


それを聞くとプリマはくすくす笑い、優しくキショウの頭を撫でた。先程までに駄々っ子とか子供とか称したが、プリマから見るとキショウはとても子供である。年齢はさほど変わらぬものの。

撫でられたことを疑問に思いつつも逃げないキショウに気を良くして、プリマは尚も撫で続ける。そして無事一段落したことに、こっそり胸を撫で下ろすのだった。

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